第一章 北関東の某県にて、変態たちと共に……

【路上アーティスト編】

第1話 子供の頃『悪い友達には気をつけろ』と言われたもんだけど、本当にその通り。

○役者Aとの出会い ~本物のウソつきは、自分のウソをウソと思っていない~


 僕が20歳代の序盤の頃のことです。

 一週間で100時間以上の労働を強いる超絶ブラック企業A社(仮名)を退職した僕は、普通のブラック企業B社(仮名)に転職しました。


 転職と同時に僕はいくつかの計画を始めます。

 ブラック企業A社での過労で患ったいくつもの精神疾患の影響で見た、幻覚、幻想、幻聴、奇妙なイメージ……等々を捕まえてみようと思ったのです。

 具体的には【絵を描く】【小説を書く】等々の創作活動を通して自分の頭の中を明確化しようと試みました。


 そんな時期に出会ったのが役者A。

 共通の友人が飲み会に彼を呼んだのがきっかけでした。


 当時の僕は創作活動を始めたばかり。趣味でデスメタル・バンドをやっていたのでミュージシャンの友人変態は居ましたが、他のジャンルのアートに関する知り合いが居なかったので、役者をやっているという彼に少し興味を持ちました……というか、向くからグイグイやってきました。


 初対面の印象は少し距離感が近いなー、とは思いましたが明朗快活めいろうかいかつな雰囲気。芝居に対しての情熱を語る様子は、ジャンルは違えど表現を始めたばかりの僕にとっていい刺激になってくれるように思いました。


 ただ若干、違和感が。


 例えるなら、イジメられたくないからイジメをする青年特有の、怯えに似た威圧的な目つきが気になりましたが、その時は僕の気のせいだろうと思うようにしていました。




 さて! 突然ですが、ここで飲み会の時に役者Aが自分について語っていた内容を箇条書きしていこうと思います。多分に嘘が含まれておりますが、皆さまは何個見抜けるでしょうか!?




【役者Aのプロフィール】


・北野映画にチョイ役で出演!

 一応、セリフもあり。エンドロールにも名前が載っている。


・極真空手経験者!

 時々、空手経験のある後輩の役者と河原で組み手をしているそうな。シェンムーかよ!(わかる人だけわかれば良いネタ)


・居合経験者!

 北野映画の次回作が時代劇だから練習している。


・三味線が弾ける!

 これも北野映画の次回作のために特訓中。


・現代舞踊!

 演劇とは肉体表現。体の動かし方は完璧。


・演出や自己プロデュースもできる!

 東京で自分を売り込んで参加した演劇や映画が多数。


・失読症でありながら役者の道を歩む!

 トム・クルーズと同じ。そう! トム・クルーズと同じ!!


・ラーメンにこだわり!

 バイト先はラーメン屋。相当なこだわりがあるらしく食べ歩きや研究、さらにバイト先でスープの改良もしている。


※しばらくエピソードを進めてから、このプロフィールの嘘を発表するよ!




 なんかすごそうな経歴を並べる役者A。


 そしてブラック企業から週100時間以上の労働を課せられても、最初の頃は「社会人って大変だなー」くらいにしか感じなかった疑う事を知らぬアホの子である、僕。

 これは僕にとって最悪の組み合わせであり、役者Aにとっては幸運な組み合わせだったのかもしれません。




○電話が鳴る! 電話が鳴る! 五月蠅い!!


 その後、頻繁に役者Aから電話がかかってくるようになりました。

 最初の頃は、だいたい週に二回くらい。


 こう言っちゃなんですが、話しの内容は特に意味の無い話題で、芝居へのこだわりとか、将来自分はどうなりたいとか……はっきり言ってあんまり覚えてません。

 今で言うところのな事を言っていたような気がします。


 フレキシブル柔軟、曲げやすいとかグローバル世界的なとかアドバンテージ他と比べて有利とかBYOB飲み物は各自持ち込み自由(Bring Your Own Beverage)とか、そんな言葉を使うのが好きな感じでした。


 それに対してGhost。

 チェリオ飲みながらピザポテト食ってる意識低い系なアホのです。

 BYOBの意味に至ってはアメリカの某ロックバンドのせいで最近までBYOB爆弾は各自持ち込み自由(Bring Your Own Bombs)だと思い込んでたようなアホですので、役者Aが喋る言葉に対して


「はぇー、いろんな人がおるんやなぁー」


 そんなくらい程度に思っていました。


 ま、付き合ううちにだんだん鬱陶しくなってコンセンサスみんなの合意インテンシブ集中的だ言い始めた時に


「え!? コンスタントにインポテンツ!? 大変そうだね!」


 と対応していたボクも、今思えば良い性格してんなー、と感じますけど(/・ω・)/


 さて役者Aからの電話ですが段々増えていき、多い時には週四~六回くらい。

 恋人じゃねーんだから、気持ち悪いわ!


 しかも、こういう男に限って電話をかけてくるタイミングが極めて悪い。

 それこそ当時付き合っていた恋人と一緒に居るときには絶対と言っていいほど電話がかかってきて、彼女ブチギレる。怖い(電話を無視したり、切ったりしてもかかってくる)。

 こっちはサラリーマンなのに深夜の二時くらいに平気で電話かけてくる。等々……。


 今思うと当時、怒らなかったオレ、すげぇな……。

 さて次回から、本格的にアーティスト変態たちがアート誰も求めていない事を繰り広げていきます。


それでは、

 to be continued(/・ω・)/

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