第54話 のんびりバーベキュー


 港の方に行くと、屋台がいっぱい並んでいる。わくわくして、ジークとあちこち食べ歩いた。エビの香草焼きなんて最高です! たくさん買ってバッグに入れる。


「ミーチェ、夜は宿の食堂で食べようか?」

「うん。ノアールも一緒に食べられたらいいのにね。きっと、お魚好きだよ」


 ノアールは猫だから、大好きなはず!


「お店の人に聞いてみようか、個室取ってもいいしね」

「うんうん。賛成~!」


 お店の人にお願いしてみたら、個室ならと了承してもらった。もちろん個室料金は払います。ノアールが入って来られるように、窓を少し開けておく。そして、このお店のおススメ料理を4~5品頼んだ。


「ねぇミーチェ、ノアールを呼んでごらん。きっと、ミーチェの声はノアールに届くと思うよ」


 えっ! ジークが驚くことを言う。ノアールとは契約してないのに……私の魔力を流しているから、もしかしたら? まぁ、ダメもとで呼んでみようかな。


「試しに呼んでみるね」


 少し開けた窓へ向かって、少しだけ大きめの声で呼ぶ。


「ノアール~! 今から海鮮料理を食べるよ~。おいで~!」

『ニャ~~ン! ゴロゴロ……(嬉しい~、ミーチェが呼んだ~! ゴロゴロ……)』


 ええ!びっくりするほど直ぐに、ノアールが現れた。


「ノアール凄いな! ミーチェの声が聞こえるんだ……羨ましい……」

「凄い! ジークの言う通り、私の声が届いたみたい!」


 ジークも私も尊敬の眼差しでノアールを見る。


『ニャ~ン(ミーチェが、名前を呼んだら届くよ~)』


 そこで、ドアがノックされて料理が運ばれてきた。その1つのお皿に目が釘付けになる。きゃぁ~! あれは! お刺身ではないですか!? 思わず店員さんに聞いてみた。


「こ、これは? 生のお魚ですか?」

「はい、そうですよ。初めてですか? この辺りでは、新鮮なお魚を生で食べるんですよ。お醤油か香草塩タレに付けて、食べてみてくださいね。美味しいですから」


 店員さんは、にっこり丁寧に教えてくれる。釣られて、私もにっこりしてしまう。うふふ。


「はい! 両方付けて食べてみます!」


 もちろん! 食べますよ~、これを食べに来たと言っても過言ではない!隣でジークが、顔を背けて肩を揺らしている……


「ジーク……笑ってもいいのよ……」

「もう、ミーチェが可愛くて……クスクス」


 どこも可愛くないよ? 念願のお刺身が食べられるから、嬉しいだけよ。


『ニャ~!(ね~、食べようよ~!)』

「うん。食べよう~、頂きます!」


 3人で海鮮料理を堪能しました。美味しかった~!




 翌日、シーダンに乗って海に遊びに行くことにした。市場で買い出しをして、海辺でバーベキューをするつもりです。


 北の門から出て、ジークと馬のシーダンに乗り海沿いを進む。宿の人に聞いた砂浜まで、1時間程で着いた。


「ねぇジーク、宿の人が言っていたのは、この辺の砂浜かな~?」

「たぶんそうだね。浅瀬には魔物も出て来ないって言っていたから、この辺りでゆっくりしようか」


 草が生い茂って砂浜まで道がない為、シーダンが歩きやすいように土魔法で道を作る。砂浜に降りて、シーダンを休ませ野営の準備をする。


 誰もいない砂浜で、テントを出してテーブルセットを置いたら、凄くイイ感じ! これって、バカンスを楽しんでいるみたい。海を眺めると、テンションが上がってきた~! 海に足を付けないと! ずんずん海に向かって歩いて行く。


「ミーチェ、危ないよ! 感知魔法を使ってから海に入って」

「は~い。ジークも海に足を浸けない?」


 海だ~! ブーツを脱いで、波打ち際に走って行く。足首まで海に入ると、それだけで楽しい気分になってしまう!


「冷た~い! 海だ~。あはは!」


 ジークが魔除け石を置きながら、慌てて追いかけて来る。イヤ~、青春しているみたいだよ! 誰も見てないよね? 恥ずかし過ぎる……


「ミーチェ、泳いだらダメだよ。危ないからね」

「うん、ジーク泳がないよ。足を付けたかっただけよ~」


 流石に泳がないよ~。海で泳いだ後の、あのベトベト感?が苦手なのよね……あっ! 浄化魔法あるから大丈夫そう? でも、水着を着るのがパスだわぁ……こっちに来てサイズアップしたけど、今更ねぇ……しかし、海って何年ぶりだろう~。


『ニャ? ニャ~オ!(何をしているの? 僕も遊びたい~!)』

「あ! ノアール、来たのね。海が冷たくて気持ちいいよ~」


 しばらく3人で遊んだ後、私はバーベキューの準備をする。タレは2種類、焼き肉風タレと香草塩、レモンもどきも添えて。


「ジーク~! ノアール~! そろそろ焼きあがるよ~!」

「ミーチェ、すぐ行くよ!」

『ニャ~!(はい~!)』


 3人で海鮮のバーベキューをお腹いっぱい食べました。もう動けないよ~! そうなると、睡魔が襲ってきます……海で遊んだ後だしね、テントに入ってお昼寝しよう~。


「ねぇ、ジーク。お腹いっぱいで、眠たくなったから少しお昼寝してきます。ふぁ~。」

「フフ。ミーチェ、寝ておいで」


 久しぶりにお昼寝したなぁ~。と、目が覚めたら隣にジーク、その間にノアールが寝ている……ここは楽園なのかぁ! 2人をずっと眺めていたいな……



 夜はお肉でバーベキュー。上質肉、コカ肉、オーク肉、ウサギ肉で食べ比べですよ! もちろん、多めに作ってバッグに収納する。宿屋では料理が出来ないからね~。そして、このまま一泊することにしました。こんな、のんびりした一日もあっていいよね。



 ノアールが帰って、テントでゆっくりしていたらジークが、


「ねえ、ミーチェ。僕のステータスを見て欲しいんだ」

「えっ? うん、見せて~」


 ジークは、満面の笑みで言った。


「あのね、ミーチェの祝福が一杯だよ。フフフ」


 名前    ジーク

 年齢    22歳

 HP/MP   680/230

 攻撃力   141(+27)

 防御力   146(+21)

 速度     130(+17)

 知力     71(+11)

 幸運     72 

 スキル

  ・鑑定A  ・身体強化S ・生活魔法  

  ・片手剣S ・盾S ・両手剣B ・短剣B  

  ・無属性魔法B (・精霊魔法)


「ええっー!! こ、これは……ジーク凄く強くなっているね。祝福を足して150以上のステータスが、2つもあるからランクA相当じゃないの?」


 ジークのステータスは、<森のブラージ>で見せて貰った時よりも、かなり上がっていた。まぁ……<港街オース>までの旅でもイチャイチャしていたしね。


「うん。ステータスだけを見たら、ランクAだね。きっとミーチェの中にいるダンジョンコアが、僕に力をくれているんだと思うよ。ミーチェを守るように、ってね。フフフ」


 ああ~、納得。ダンジョンコアは自分を守るように……ありかも。


「ねね、ジーク。鑑定さんに聞いてみるよ!」


 ジークのステータスに触れて聞いてみる。


「鑑定さん、この祝福は、ダンジョンコアがジークに与えているの?」


【その通りです。ダンジョンコアは、ミーチェの中で魔物を作り出せないので、ミーチェを通してジークにステータスを与えている。ミーチェを守る為、その中にいる自分を守らせる為に、ミーチェの祝福として力を与えている】


「ジークの言った通りだったね。鑑定さん、ありがとう」


 私の身体から魔物が出て来なくてよかった。ん~、これも秘密だね。


「やっぱりそうだったね。フフ、ミーチェおいで。今日も僕に祝福を……」


 ジークの腕が私を捕まえて、抱き寄せる。


「ぐっ、ジーク……私が祝福を与えているんじゃないからね……祝福のことは秘密よ」

「フフ。ミーチェ、可愛いね」






  ※   ※   ※





『ミャ~オ!(主~、ただいま!)』


「今日もミーチェの所か?」


『ニャ~! ニャ~オ(そうだよ~! 海でバーベキューを食べたの~)』


「ほぉ~、美味しそうだな……」


『ニャ! ニャ~オ(うん! 美味しかったよ、主も今度食べに行こう~)』


「ミーチェが呼んだらな……」



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