第26話 ジークの視点2(回想シーン)

 ミーチェが、テントの中を見せてくれると言う。この前買った、大きなベッドを置きたいって。腕を引っ張られてテントに入ると、まさか、テントの中を空間魔法で広くしてるなんて……ミーチェには、いつも驚かされるよ。


「僕は、入れないの……?」


 テントには自分しか入れないようにしているって、何かあったらどうするの……困るよ、僕が。


「僕もここに入りたいなぁ。ダメかな……?」


 ミーチェは優しいね、僕も入れるようにしてもらったよ。フフ。


 休みの日、ミーチェと出かける。のんびり、デートみたいだね。あぁ、良いことを思いついた。こんな日に着る、ミーチェの服を買おう!


 うん。すごく、可愛いんだけど、誰にも見せたくないから、フードを深く被せとくね。


 ボス戦の後、ミーチェが、僕のステータスを見たいって言う。気になる? 嬉しいね。ついでに、隠匿したミーチェのステータスも見せてもらおう。うん……これはかなり問題があるよ……ミーチェ。


 あぁ、ミーチェ。やっと15歳になったんだね。これで、やっと成人だ。ミーチェ……覚悟してね。フフ。


 ミーチェのテントが、高級宿みたいになってる……広いベッドが寝心地が良さそうだね。う~ん、ここで一緒に寝たいな……強引に了解を貰ったけど、ミーチェ知ってる? 我慢するの必至なんだよ? 可愛い寝顔に、八つ当たりしたくなる……起こさないように抱きしめておこう。


 ボス戦で、宝箱開ける時、飛び跳ねて喜んでるよ……可愛いね、本当に僕より年上なの? 何でもしてあげたくなるよ。


 ボス戦の記念に、ミーチェの服を買った。可愛い、凄く似合ってるよ……牧場で君の横顔見たら、ダメだ……


「ねぇ、ミーチェ。キスしてもいい?」


 可愛い唇に触れた瞬間、言葉が出てしまった。


「ミーチェ、好きだよ」


 真っ赤になるミーチェが、可愛い……フフ、もっと僕を見て。おやすみのキスをしたら、年上をからかうなと言われたけど、ごめん見えないよ。


 また、ギルド長に呼ばれた。あの人は、前からしつこい。目立ちたくないんだ、だからランク上げたくないのに……


 ミーチェが、ギルド長が鬱陶しいなら、街を出ようと言ってくれた。嬉しいよ。一緒に、付いて来てくれるかと聞いたら、『うん。もちろん、ついて行くよ? 独り立ち出来るまで、面倒見てくれるんでしょ? ふふ。』だって。


 独り立ち出来るまでじゃなく、僕はずっと傍にいたいんだけど……ミーチェの手を引いて抱きしめる。優しくキスをしたけど、止まらない。今日は、逃がしてあげない……ミーチェが、好きだよ。


 朝起きて、何となくステータスを開いたら……なんだこれ? (+1)とか表示されてるし、こんなの聞いたこともない。ミーチェが、原因? 彼女が起きたら、ステータスを見せてもらおう。しかし、ミーチェ……可愛い寝顔だね。


 ミーチェが僕のステータスに触れると、鑑定の表示が出た。何故、表示が出るんだ? これも聞いたことないよ。鑑定曰く、ミーチェの祝福らしいけど……ミーチェ、僕を祝福してくれるの? 片思いじゃないってことだよね。嬉しいね。


 ギルド長に呼ばれた。ちょっと、ミーチェを一人にしていたら、絡まれてるし……油断も隙も無い。ん? 誰かと思えばサイモンじゃないか……可愛いミーチェがいるのに、なんでお前と、ダンジョン行かないといけないんだ。


 ミーチェが、僕のことを好きだって言ってくれた! すごく嬉しい。ずっと一緒に旅をしよう! 今夜も一緒だよ……


 王都を出発した翌日、僕の誕生日。朝から、ミーチェにプレゼントを貰った。財布なんだけど、アイテムボックス(小)に作り変えたって……馬車1/2台分も稼げないよ?


 僕の為の誕生日料理、朝からお祝いしてくれるの? 食べたことがない料理が、出て来るんだけど凄く美味しい。どれも美味しかったけど、フレンチトーストとケーキには心奪われた……僕は甘い物が好きだったんだね、知らなかった。


 ミーチェ、今度は、ナイフに付加魔法付ける練習してる……ゴーレムにダメージ与えたいの? 楽しそうだからいいけど、無茶はしないでね。


 あぁ、面倒な魔物が出て来た、アイアンゴーレムだ。そこで、戦闘になると範囲攻撃が……まずい馬が暴れる、『えっ、ジーク! 馬車が落ちるよ!』


「ミーチェ! おいで!」


 ミーチェ危ない、上手く庇えるだろうか……ミーチェが、咄嗟に強化魔法をかけてくれる。ありがたい。うっ、ぐっ……


 ……


 気を失っていた……? 頭が痛いな……目が覚めると、心配そうに覗き込んでいる女の子がいた。


「……君は誰?」



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