第12話 2回目のダンジョン

 今朝は、なかなか起きられない……ジークが待っているので頑張って起きる。ふぁ~、寝不足……


 宿屋で朝食を済ませ、2人で買い出しに行く。明日は2回目のダンジョンです。1泊2日で10階のワープ目標。


 市場に向かい、食料の買い出しをする。はじめての調味料発見。お店のおばさんに、使い方を教えてもらう。レモンもどきや、オレンジもどきがある。


 大都市だけあって、ここは食材が豊富だ~! ここにも、醤油売ってるんだけど、味噌はなかった。卵や牛乳まである。買わなきゃ! 見てるだけでも楽しい~。


 お昼からは、旅中で拡張したテントの内を、快適にする為に、家具を買いに行った。


 まず、大きいベッド。これは、貴族街エリアの高級店で見つけた。かなり、いいお値段……ジークが目をむいている。私のバッグには、まだ入らないので、ジークにお願いする。これで私のテント、いっぱいになっちゃうかな~。まだ、8畳ぐらいの広さしかないし。バッグは、馬車2台分ぐらいです。


 ソファーセットも欲しかったけど、次回にします。またテント拡張しよう~! ショルダーバッグもね。


 久しぶりの買い物は、すっごく楽しかった。うふふ。



 翌日、ダンジョン2回目。


 今日は、1泊2日で10階のワープが目標です。途中の屋台で、お昼用の串焼きとパンを多めに買いダンジョンに向かう。


 ダンジョンの広場でポーターのショウがいた。


「ミーチェ、ショウがいる。また、ショウを連れて行くよ」

「はい。了解です」


 毎回違うポーターより、同じ子の方が気が楽だもんね。ジークはショウを呼んだ。


「ショウ! ダンジョンで1泊する予定だけど、行くかい?」

「うん! 行くよ」

「ショウおはよう~。よろしくね」

「おはよう、ミーチェ!」


 ショウが、笑顔で挨拶してくれる。可愛い~。


「ショウ……ミーチェは、僕のパーティーメンバーだからね」


 ジークが、ショウの目の前に仁王立ちして、言い聞かせるように言ってる。前も言ってたよ……2回も言わなくても……ショウが、戸惑ってるじゃない。


 入口で入門税を払い、ダンジョンに入る。ワープで5階に飛び、ジークから予定を聞く。


 10階ワープまでは、ジークと私で狩りながら進む。私は、魔法のスキル上げを意識して狩る。ショウは、アイテム拾いしながらジークの戦い方をよく見る。ワープ取った後、3人で狩り。ボス戦は明日、以上です。


 5~10階にかけて出てくるのは、ウサギ・ゴブリン・コボルト・狼。ジークは一撃で倒せるけど、ドロップの関係でウサギと狼は私が先に攻撃する。止めはジークです。ゴブリンとコボルトは、魔石以外ゴミの武器しか落とさないそうです。


「ミーチェ、ウサギは、お肉と毛皮。狼は、牙と毛皮をドロップするんだ。だから、幸運持ちのミーチェが必ず攻撃してね」


 と、ジークが言う。なるほど……


 順調に進んで、昼頃10階のクリスタル到着。そして、ワープ確認のため1階にワープして、また10階に戻ってくる。


 9階に戻って、階段そばの小部屋を陣取り、魔除け石を置く。石壁の迷路作りになってるので、休憩が取りやすくて助かります。


 は~い、お昼休憩です。テーブルセットを出してもらう。男2人なので、机に4人前ぐらい料理を並べる。いつも多めに買ってバックに入れてあるの。困らないようにね。


 飲み物は昨日買った、レモンもどきを絞って果実水にする。2人は、お預けをくらった犬のようです……ふふ。急いで座って、いただきます。


 目をキラキラさせて、いい食べっぷり。屋台料理は、まだあるけど、私の作り置き料理がなくなった。なので、今夜からでも多めに作っておこう。


「ショウ、分かっていると思うが……もぐもぐ……」

「うん、ジーク。2人だけの秘密だろ。もぐもぐ……」

「そうだよ。覚えてるならいいよ。もぐもぐ……」

「……二人とも、よく噛んでね」


 他に幸運のドロップとか、もっと大事な秘密があると思うんだど……



 午後からは、3人で8~9階で狩り。他のパーティーに出会うこともなく、順調に魔物を倒していく。


 私とショウがペアで、前回のように狩る。ジークもソロで参戦。強化魔法とか回復魔法とか、スキルあげ兼ねてかけまくりました~。


 ショウに持たせていた、リュックがいっぱいになったので、ジークが別のリュックと交換する。予備持っていたのねジーク。


 昼間に使った小部屋にもどり、野営の準備をする。ジークはショウにテントの張り方、魔除け石の使い方を教えてる。


 私はその間にテントを出し、夕食の支度をする。久しぶりの料理です。魔法を駆使して、がんばるよ~!


 まず、具沢山のオークベーコンの圧縮スープ。


 9階でドロップしたウサギ肉をミンチにして、パテを作る。堅いパンを半分にして、スープに軽く浸して蒸す。トマトと玉ねぎ煮詰めて、トマトソース……もどきを適当に作ってパテにかける。チーズ、パテ、トマトを挟んでハンバーガーを作る。


 足りないかも? フライドポテトも作っておこう。多めに……


 そして、ゆで卵とマヨネーズも作る。風魔法がありがたいよ~。これも多めに作っておく。


 最後に、サラダの上に潰したゆで卵を置き、マヨネーズかける。


 ジークとショウが手伝いに来た。そっちは終わったのね。


 スープを深皿に入れて持って行ってもらった。ハンバーガーは、1人2個ずつ私は1個。サラダを真ん中に置く。ポテトも出しておく。出来た~、ふぅ。


「はい、お待たせしました。どうぞ~、召し上がれ。スープは、おかわりあるからね」


 ジークは目がキラキラ輝いている。


「ミーチェの手料理は、最高だね。美味しい、凄く美味しいよ~」


 ショウは、目を見開いて、


「おおおおっ! なんだこれはっ!」


 二人とも喜んでくれて嬉しい。頑張ったかいがあるよ~。


「ショウ! もぐもぐ……」

「分かってる! ジーク。世界の秘密だ! もぐもぐ……」

「……」


 食後の片付けは、ジークとショウでやってくれた。焚火の番は、2人でやってくれるそうです。私もするのに……。


 あぁ、そうだベッドをテントに入れないと……。


「ジーク、昨日預けたのテントに入れて欲しいんだけど~」


 テントを拡張してから、初めて中をジークに見せる。私のテントに入る時、口に人差し指あてて小声で、


「ジーク、中を見てビックリしないでね」


 と、微笑む。


「うん。いつもミーチェには、驚かされるからね~。ええっ! 広いっ……どうやったの?」


 ふふっ。ジークびっくりしてる。


「ふふっ、空間魔法でね、テントの中だけを拡張したの。ジークここに、昨日買ったベッド置いて欲しいの。あっ、防音の魔法かけているから、外には音が聞こえないからね」


 ジークが、呆れたように言う。


「ミーチェ……旅の途中、何かコソコソしてると思ったら……やりたい放題だねぇ……っはい、ベッドここに置いたよ」

「えへへ、外の音が聞こえなかったら緊急の時に困るから、外からの音は聞こえるようにしてるのよ。結界は張ってるけどね」

「誰かに、中を見られると困るよ?」

「大丈夫。私しか入れないようにしてるから。誰も中を覗けないよ」


 と、笑顔で言ったらジークが近寄ってきて、


「僕は? 入れないの……?」

「一人用よ? ジークのテントも大きくしようか?」

「僕のテントはいいよ。ダミー用にすればいい。ミーチェのことだから、まだ大きくするんでしょ?」


 ええ! ジーク、何故わかるの?


「えっ? うん、たぶん……」

「僕もここに入りたいなぁ。ダメかな……?」


 と、私の髪に口付けながら聞いてくる……あっ、甘えてくるのかぁ……ジーク。


「うぅ、ダ、ダメじゃないよ。入れるようにします……」


 髪に口付けとか、どこの騎士様よ……


「今して欲しいなぁ」


 はい、降参です。その場で、テントにジークを登録した。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る