第4話 始まりの街 到着

 昨晩は交代で焚火の番をした。と言ってもジークが先に寝て、私が眠たくなったらジークを起こしに行くだけ。


 遅くまで起きているのは、あっちの生活で慣れているけど身体が子どものせいか、スライム狩りで疲れているせいか、12時過ぎで睡魔が襲ってきた……


 あ、時間がわかるのは、私の腕時計が普通に動いているから。但し、向こう側とこちら側が同じ時間で進んでいるのかは分からないけどね。壊れるまでは使うつもりです。そして、この世界にも魔道具の時計があるそうです。ジークが、持っていました。


 今の時間が、1時過ぎ、ん~、眠い……ジークを起こしに行く。ジークの寝顔見られるかなぁ~。目を擦りながらテントに入ると、ジークが起き上がった。え?


「ミーチェ、おはよ」

「ジーク……おはよう。短い時間だったけど寝られた? もしかして、寝てないんじゃない?」


 近寄るだけで起きるなんて……気配を感じるのかな? 高ランクの冒険者ってすごいね! 寝顔見られなかったよ。


「寝たよ。ミーチェは頑張って起きていたみたいだね。目が半分閉じているよ。ッフ」


 ジークの顔が今にも吹き出しそうで、片手で口元を押さえている。そんな顔もイケメンで、眼福なんだけど……そんな変な顔をしている私? 眠すぎて……もういいや……、もぞもぞと横になる。


「うん、ジーク……おや……す……」


 途中で意識が途切れる。


「ミーチェおやすみ」




 朝は簡単にスープとパン。昼頃には街に着くらしく、お昼は街で食べる予定です。


 薬草も採集しながら歩いた。そして、スライム狩り。ジークはそれ以外の寄ってきた魔物を狩る。


 草原に出て街道をしばらく行くと、やっと見えてきた! 石の壁に囲まれた静かな佇まいの<始まりの街>、やっとだぁ……


 南側にある大きな門が見えて来ると、心なしか急ぎ足になる。するとジークが、


「ミーチェ待って、ステータスいくつになっている?」

「んと、待ってね」


 立ち止まってステータスを開く。


 名前  ミーチェ

 年齢   6歳

 HP/MP  30/40   

 攻撃力  12

 防御力  14

 速度   18

 知力   75

 幸運   94

 スキル

   ・鑑定A ・料理A ・生活魔法 ・空間魔法E

   ・火魔法E ・風魔法E ・土魔法E ・水魔法E 

   ・光魔法E ・闇魔法F ・短剣F


 やっと6歳……おぉ~、いろいろ育っている。嬉しいな。魔法がいっぱい発生しているってことは、魔法の方が向いているのかな~。ギルド登録したら魔法育ててみようかな。


「ジーク。私のステータス見てみて~。やっと6歳よ。でも、だんだん上がり難くなっている気がする……」

「おっ! ステータス上がってきたね。普通、1年に1歳だからどんどん上がり難くなるんじゃないかな。しかし、スキルが……育っているね。これ、他の人には見せられないよ」


 と、ジークは何やら考え込んだ。


 確かに、みんな1年に1つ年を取るもんだしね~。あれ? (東山美智代)が消えている……何故だろ?


「はい、見せないようにします。ステータス6歳でも、身体の方は大人のままだから、そんなに焦らなくても良さそう」

「う~ん? ミーチェ。確実に若くなっているよ。僕が拾った時、25歳ぐらいだったけど今は……20歳ぐらいに見えるし」


 え――!ジークの爆弾発言! 一瞬固まった……


 ビックリして、お姉さんの心臓止まりそうだったよ!


「えっ! ジークより年下に見えるの?」

「ん? 同じぐらいだよ」 

「え……? ジークっていくつ?」

「21だよ。いくつだと思っていたの?」


 なんと20代後半だと思っていたら、まさか21歳だったとは……息子とかわらないじゃない。


 あれ? 私が見る年齢とジークが見る年齢に誤差があるのでは? って、ことは……ジークの言う20歳って……ややこしい……考えるのは止めておこう。


「えー! 息子と変わらない……ジーク、25歳ぐらいだと思ってた……」


 本当のことは言えない……30前だなんて……なんか私、精神も若くなっているのかな~。話し方が、雑になってきている気がする。ため口だからかな。


「うぁ、ちょっとショックかも。って、え? ミーチェ、そんな大きな子どもがいるんだ。見えないよ」

「うん。ジークよりは年下だけどね。あ~、若返っているから見えないかもね」

「あぁ、そうだミーチェ。このマントを着て、顔が見えないようにフード被って」


 ジークは、アイテムバックから亜麻色のマントを出した。


「うん? 顔隠すの?」

「うん。これで多少若くなっても誤魔化せるでしょ。あまり喋らなくていいからね。迷い人だとバレると困るから」


 そう言って、ジークはフードを深く被せた。


 なるほど、なるべく喋らないように、ボロが出ないように……日焼け止めにもなるしね。あ! バリアーみたいなので、紫外線とか身体に害になる物をカット出来ないかな~。後で試してみよう。


 大きな門に向かって歩いていく。門前で兵士が2人、街に入る人を検問していた。40歳ぐらいの大柄な兵士さんが、声をかけてきた。


「お、ジーク! どこまで狩りに行ってた? 遅かったな。ん? そちらは?」

「あぁケビン、森で拾ったんだ。名前はミーチェ、ギルドで登録させるから」


 そう言って、ジークは私の分の入門税銀貨1枚を払った。


「ミーチェと言います。よろしくお願いします」


 焦げ茶色の髪で琥珀色の瞳をしたケビンさんに、顔をあまり見ないように頭を下げて挨拶した。


「ほお~。ミーチェ、ようこそ! 始まりの街に!」


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る