第21話 矢文
アデーラ。一番、
でも、森に入る前に気合を入れとかないとな、と思って最寄りの小さな村で村人Aとでも言うべき一般人の家に土足で上がった。
マルセル似の女って意外と探すのが難しい。
適当にかわいい娘を見つけて寝室にお邪魔する。なんだ、旦那がいるのかよ。
旦那を縛るものが見つからないので、本人の腹に指を突っ込んで腸を傷つけないようにそうっと引っ張り出す。
本人の腸で本人を縛りつけると、あとは嫁と熱く結ばれるのを見せつける。
あ、これって、えろしーん? えろしーん来ちゃう? でも、マルセルにも似てない人妻じゃ、なかなか腰が入らないな。
「この腐った勇者め! 一度でも、魔王から世界を取り戻してくれなんて願った俺が馬鹿だったよ!」
一通り、寝取ったあと服を着ながら、まだ裸で誘ってくる女に目くばせする。
「また、俺に会いたくなったら女神フロラ様に祈ってくれ」
マントを羽織りながらお別れのキスをする。
「貴様、腐れ勇者!」
腐れ王子みたいな響きで嫌だな。
「奥さんはまんざらでもなさそうだぞ」
家をあとにして、サクサク歩いているとリディがまた不満そうにチョーカーについた漆黒の宝石から出てくる。
お前は俺の保護者かよ。
「何だよ、リディ。また、不満そうだな。誰彼構わずに手をつけてるわけじゃないさ。俺はマルセル似の女を探してるんだよ」
俺の鼻の前で、声の出ない真っ赤なかわいい口で何やら訴えてくる。ああ、その小さな口が俺と同じサイズならキスしてやれるのに。
いや待てよ、やろうと思えばできないこともなくはないか?
「なぁリディ。俺の乱交を止めたいなら、そう言えよ。自分が身代わりになるって」
俺はリディをひっつかむとその、ふくよかな胸。といってもサイズは一センチあるかないか? にそっと舌を伸ばす。彼女目を閉じてじっと待っていてくれるじゃないか。
おっと、よだれが落ちる。彼女怖がってるな。よだれで汚したことだし勘弁してやるか。
俺ははにかんで、彼女を握る指を解放した。彼女は恐怖からか、すぐには飛び立たない。いや、何だその目。俺のために悲し気な顔をするじゃないか。
最高だな! 全く溜息が出るな。
彼女はおずおずと宝石の中に帰っていく。宝石の中から俺のふしだらな行為って丸見えなのかなぁ? ちょっとそれは恥ずかしいな。
空から弓が一矢降ってきた。足元にサクっと落ちたそれは何やら文がついている。
おっと、誰か尾行でもついてたか? 辺りには誰もいない。でも、文は明らかに俺宛て。
書いてあるのはただ一文だ。
そんな……俺より先に
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