第17話 伝言
おっさんの顔面を何度も殴る。このおっさんは、なかなか泣かない。というより、最初に切断魔法を使ったのがいけなかった。
かなりのショック状態でどんな拷問も効かない。
腕がなくなったショックと、出血多量によるショック症状。
不死鳥のグローブの上からでも返り血が手に染み込んでくるぐらい殴ったってのに、
マルセルが泣いて止めに入るか、妄想してみる。思わず頬が歪んじまうな。
「
側近モルガンがいたことをすっかり忘れていた。
「モルガン様! できないことはないですが、あのグスタフ様はどうされますか! た、助けに行かないことには結界の移動はできませんよ」
結界の境目に取り残されたら、それこそ人体切断だもんな。あ、それいいんじゃないか?
いいアイデアだと思ったので、動かなくなったお兄様を引き連れて詠唱団に向かっていく。
あいつらのいるあたりが、ちょうど中と外の境界線だ。お兄様の身体よ、真っ二つになれと願いながら放り投げる。
境目に差し掛かるとばちばちと音が鳴ってお兄様の身体は腸を撒き散らして上下に分かれた。
「詠唱団は最後までよくお兄様の処刑を見届けたな。褒めてやるよ。本当はこういうショー。好きだったりして?」
俺は怯えた詠唱団の一人に指を伸ばす。俺のメスの指なら結界だって切り裂ける。
泥棒が窓に丸い穴を開けるみたいな
自分が通れるくらいの穴を開けてそこから外に出る。
相変わらずの晴れ渡る草原だ。魔物もいなくて気持ちいいな。
詠唱団の逃げ足が速いので、お兄様の腸で投げ縄をする。一人捕まえた。
「勇者貴様、まだ何かはじめる気か!」
モルガンは今度ばかりは逃げないようだ。他の詠唱団はみっともなく逃げ出したというのに。
「おっさんの味が気持ち悪いから。口直し」
しかし、詠唱団の白衣のフードを取ってみると覗いたのはおっさんの顔。詠唱団っておじさんしかいないのか。モブっぽい顔だし蹴り飛ばして見逃した。
そのとき、足を忍ばせてゆっくりと離れていくモルガンの姿が視界の隅で捉えた。
「待てよ。野宿も楽じゃないってのに、お前らに起こされたんだぞ」
「ま、まさか、わしの血を」
「飲むかよ。それより帰って潔癖腐れ王子に伝えろ。俺が次に
アデーラは、俺の元パーティで弓と短剣が得意な女エルフ。そして、森を守り水源を浄化している。
でも、その水源の川って全部リフニア国に流れている。アデーラがもし死んだりしたら、リフニア国の川はどうなっちゃうかな?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます