第2部 お願い!教えて?〜超美人広報の彼女が陰キャな俺に結婚を迫ってくる〜
第1話 部屋探し計画開始(1)
俺と間宮さん……じゃなくてユリカちゃんは正式に同棲を開始した。わけであるが、正直この部屋は狭い。一人暮らしにはのびのびできても大の大人な2人クラスにはスペースがなさすぎる。
「うーん、職場とは近い方がいいのかそこそこ距離があった方がいいのか」
可愛らしくお揃いのマグカップを持って悩む様子は相変わらずの天使……である。
「私はゆうくんと一緒ならどこでもいいよ?」
これである。
ユリカちゃんは俺のことを最近「ゆうくん」と呼ぶ。それは突然のことだったからすごくびっくりしたが、なんだか嬉しいような恥ずかしいような……?
とはいえ、お金問題とか家事問題とか同棲を始めると色々な問題が出てくるし、ユリカちゃんも俺も結構忙しかったりする。それが原因で関係がこじれてしまうのが一番嫌だ。
「少し狭いと思わない?」
「うーん」
俺の問いにユリカちゃんは首をひねって少し間を置いた。今日は休日だからお互い部屋着のままだし、彼女はすっぴんだがとんでもなく可愛い。そこらへんの女優より可愛いと思う。いや、それは言い過ぎかな??
「俺としては……だけどもう少し広いキッチンとか二人でゆっくりできるスペースが大きい部屋の方がいいかなって思ってさ」
例えば、アイランド型のキッチンだったり、少し広めのバルコニーがある部屋とか、逆におしゃれな和室がある部屋でもいいな……。ユリカちゃんとの生活は予想以上に楽しいがそれをもっと彩るためには今の部屋よりも良い場所に住みたい……。なんて思ったりする。
「あっ、私お風呂がかっこいい感じのお部屋がいいです!」
ユリカちゃんはにっこりと微笑むとスマホを取り出してなにやら調べ始めた。確かに、俺がこの部屋を探す時、風呂場にはこだわらなかったもんな。そもそもモテないから女なんて連れ込む予定なかったし、俺のカメグラは料理が中心だし……。
「こんな感じの! お風呂がいいです!」
ユリカちゃんが渡してきたスマホを見るとそこにはなんというか……すごくおしゃれな風呂場の写真が写っていた。黒を基調とした海外ホテル風のバスルーム。湯船は広くて足が伸ばせそうだし鏡も大きい。
「確かにおしゃれかも」
「二人で入れそうだし……、それにこのお部屋は洗面台もホテルみたいでおしゃれなんですよぉ」
あ、そっちか。
二人で入る前提なのね……。
「洗面台はあれか、透明なボウルみたいなやつ……確かにカメグラ映えはしそうだけど特定も容易いかもっすね」
ユリカちゃんのカメグラはそこそこのフォロワーがいるし、俺もレシピ本の売り上げが結構出ていてフォロワーも爆増している。まぁ、俺は色恋営業なんてものはしていないからいいけれど、ユリカちゃんのほうはどうだろうか。
「なぁんですか? まじまじと顔みて」
「いや、新しく部屋を見つけて引っ越したら……その部屋には二人の思い出だけが積み上げられるんだなぁと思ってさ」
言っていて途中で恥ずかしくなるくらい俺はおかしなことを口走っていたはずだ。ユリカちゃんがぱぁっと花が咲いたような笑顔になった。
「絶対に部屋を探しましょう!」
***
俺たちは本気で部屋を探すことにした。もちろん。結婚前提で……いや婚約をしているわけだし、長く住めるマンションがいいな。と思ってはいるが賃貸以外では考えられないのは確かだった。
勤めている会社がベンチャー企業だってのもあるが、正直高い買い物をするには勇気がでない。というのが本音である。
「間宮……ゆうすけ……やっぱり引っ越しとともに籍……入れたいな」
物件間取りの画像を見ながらニマニマするユリカちゃん。そういえば、俺が婿入りするんだっけ……?
まぁ、うちは兄貴がいるしどうでもいいけど。
——ユリカちゃんが複雑な家庭の苗字を残したがる理由って
「ゆうくん、ゆうくん、ここなんてどう? ねぇ、内見の予約しようよっ」
俺の答えを聞く前に「えーい」と言いながらユリカちゃんは予約ボタンを押していた。おそるべし行動力!
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