第7話 美人広報さんはオシャレになりたい
まず、SNSを開設してやることはフォロワーを増やすことである。と俺は思う。
「間宮さんのお友達にフォローしてもらいましょう」
「お友達ならたくさんいますっ」
でしょうね。
まずは、社内の全体チャットで会社のSNSが開設したことを報告する。そんでもって社内の中でもSNSのフォロワーが多い社員に拡散してもらうのだ。情報を発信しても、バズらせるにしても拡散してくれる一定数がいなければ始まらない。
「おぉ、どんどん増えていきますね!」
そりゃそうです。あなたは社内で一番人気の美人なんだから男も女もあなたに媚びたいんです。
「じゃあ、最初の写真は俺が取るんで間宮さんはSNS開設の挨拶文を考えましょうか」
写真を撮るというよりはデザイナーが作った会社のロゴや会社HPに載せているオフィスの画像なんかをピックアップする。あとは、間宮さんの顔画像だな。
一応広報さんだからHPに宣材写真があるからそれと……あとは今日の焼肉ランチの写真を……俺がとったやつだけど。
「で、これをちょっと加工して」
俺はサクッと加工をする。まずは画像のサイズ。それから画質をあげて……。特にランチの写真は俺が写ってない画像、美味しそうに見えるようなフィルターをかけてっと。
「今送った画像を全部一緒に挨拶文と一緒に投稿しましょう」
間宮さんは写真を見ながら挨拶文を考えている。
「あ、今送るんですけど……チャット画面見れますか」
【朝7時〜9時、お昼12時〜14時、夕方18時〜19時、夜23時〜1時】
俺の送った時間をみて間宮さんは首をひねった。可愛い。
「これなんですか?」
「これはSNSを見る人が多い時間帯っすね。通勤時間、お昼休み、退勤時間、夜寝る前ベッドでのスマホタイムっすね」
間宮さんは可愛い手帳にメモする。いや、パソコンでコピペすればいいのに。と俺は笑いそうになるが彼女の文字が可愛くて見守る。
女の子ってこういう非合理的だけど可愛いもの好きだよなぁ。不思議。
「この時間に出すといいってことですか?」
「まぁ、あくまで参考ですけど平日ならこの時間帯にネットを見てる人が多いのでバズるかも……? くらいの感じですね」
間宮さんは「今回の挨拶はどのタイミングですかね?」と俺に質問をした。うーん、会社の挨拶だし……お昼がいいのかな?
「お昼がいいとおもうっすけど……」
「じゃあ、明日のお昼頃にあげてみます。ハッシュタグはどうしましょう?」
明日のお昼に投稿するってことか。だとしたら今日のうちにそれ以降の投稿についても下書きさせておくといいかもしれないな。
「ハッシュタグは内容とちゃんと合致していることが重要っすね。まだ投稿まで時間があるので他の広報さんたちの最初の投稿のハッシュタグで気になるものをピックアップしましょう」
「はいっ」
#会社広報 #キラキラ女子 あたりは必須か。 ぶっちゃけ間宮さんの容姿で男のフォロワー引っ掛けるのが一番バズりそうなんだよなぁ。
「やっぱり、藤城さんがご飯の写真撮るとオシャレになりますよねぇいいなぁ」
「じゃあ、俺は仕事に入るんで文章とハッシュタグ考えておいてください」
まぁとにかく美人が隣にいて、毎度毎度俺に話しかけてくる環境じゃ仕事になんか集中できない。俺はパソコンを小脇に抱えて、オフィスを出ると会社内の共有スペースのテーブルで仕事をすることにした。
うちの会社は社長が凝っていることもあって共有スペースはカフェのような感じになっていて非常に落ち着く。
「えっと……おぉ、修正依頼がきてるな。自分の仕事しねぇと」
業務開始から5時間、俺はやっと自分の仕事に取りかかることができた。
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