第2話 二つの呪い

「……ふむふむ、なるほどな。」


ロザリアの言葉をまとめるとこうだ。

この世界は所謂「魔術絶対主義」の世界であり、それによってランクわけされる。そしてこの世界は主に7つの国に分かれており、その国の名前はロザリアも「シラメイア連合国」「ウィリア公国」「ガジュリオ帝国」以外は分からないらしいがそれぞれ特色は違うらしい。そしてここは「ウィリア公国」、他の国に比べて小さいが栄えてる国なのだそう。

その情報を頭で整理し終え、相手の方を見た。


「んでロザリア、もう二つ聞きたいことがあるんだが」

「……何?」

「魔王の呪いについてと…お前、なんでここにきたんだ?」

「……魔王の呪い、についてから話すね。」


魔王の呪いというのは、1000年に1人くらいのかなり希少な確率で現れる災厄の呪いであり、20歳までにその呪いを解くことが出来なければ呪いが放つ魔王な魔力に耐えきれずに死に至る、耐えきれたとしても魔力に支配され魔王になる他ないのだ。そして呪いを解けたという前例はもちろん、手がかりすら全くなく、ちょうど20000年ほど前から「魔王の呪いの刻印があるものは処刑する」という世界全体の暗黙の了解が決まったのだ。


「……だから、魔王の呪いが現れたものは20歳までに亡くなってるんだよ」

「なるほどな……」


……あっそれ俺やばくない?えまじで言ってんの?

だって俺ちょっと祝われただけだけど昨日で4歳になったんだぞ?えっやばくねえかそれ??


「……それで、私の話なんだけど……それよりさ。…なんで君はその魔王の呪いについて聞いたの?」

「あー……言いにくいんだかな。…俺、その呪いにかかってるんだわ」

「……」


一瞬の沈黙を置いて、彼女は頷いた。


「そうなんだ」

「え、そうなんだって……お前叫ばねえの?」


自分がその立場だったら間違いなく叫ぶだろう。恐ろしくてたまんないわ。

そう思いながらロザリアに聞くと、真顔で彼女は口を開いた。


「だって私に被害があるわけじゃないし、何より私も


意外とドライだなこのお嬢さん…にしても似たような呪いねぇ……似たような呪い!?


「ちょ、おま…!はぁ!?」

「……うん。この顔のって見える?」

「え、この顔のって……花の模様みたいなのか?そりゃ見えるけど……」

「…これが、その呪いの印なの。あまりこの呪いについてはよく知らないんだけど、周りに不幸をもたらす呪いなんだって」


淡々と話す彼女の方を見る。普通ならもう少し取り乱すと思うのだが……それとも、そのことに慣れてしまったのか。

そう考えると余計苛立ち、拳を血が出るほど握りしめる。


「……なあ、あんたはここに来たってことは殺されるのか?」

「うん。……きっと、明日にでも」

「…そうか。」


俺だけだったならまだ大丈夫だ、この世界のことを探れると余裕があった。でも、この子が明日処刑されるなら…そんなこと言ってられねえだろ。


「……なあ、ロザリア。」

「…何?」

「ロザリアさえよければ…だけどさ。」


「……俺とここを脱獄しないか?」

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