第1話 少女
俺がこの檻に閉じ込められてから約一時間が経つ。
勿論鍵開け魔術を使ったことがないのもそうだが、俺はこの世界で三年過ごしてるとはいえあの小さい村の生まれだ、ここの細かいことを知らなすぎる。呪いの刻印だって親に言われてから知ったんだ、出た後も知識不足ですぐに逆戻りになりそうだ。何か情報を得る方法があればいいんだがな…
そう考えていると、遠くから声が聞こえてきた。
「来い!」
野太い声の怒号とともに、三つの足音が聞こえてくる。
大柄の兵士らしき人物が二人と、もう一人。
少し薄汚れたブロンドの髪の毛に毛先は水色、エメラルドグリーンの瞳に少しボロボロな服装。そして、頬にある花の模様が特徴的な少女が来た。俺と同い年くらいだろうか。
その子は俺と向かいの牢獄に半ば乱雑に入れられる。
「……」
想像できないほど殺意が湧いた。お前ら女性は丁重に扱いやがれ!!!今すぐ殴りに行ってやろうか!?!?
と、そんなことを言うが今それをしてしまっては俺の考えは水の泡だ。なんとか怒りを抑えよう。
兵隊が去っていくのを見届けた後、あれは彼女に話しかけた。
「そこの麗しいお嬢さん。少しいいかな?」
「……うるわ…?」
“麗しい”の意味を知らないのか、その子は首を傾げている。
教えようとも思ったが、論点はそこではないしまたいつあの兵隊共が来るかもわからない。
それはまた後でにしよう、と思いながら口を開いた。
「あーっと…そこは気にしてもらわなくても大丈夫だよ。少し聞きたいことがあったな」
「聞きたいこと……知ってる範囲でなら答えるよ」
「わかった、助かる。まずお嬢さんの名はなんて言うんだい?」
「……私の名前…私の名前は、確か「ロザリア・ヴィオレット」…あなたは?」
「結構曖昧だな…俺の名前は「レオ・カイリーナ」。それじゃあ、聞きたいことだが…俺は自分で言うのもなんだが結構な世間知らずでな。色々詳しいことについて知ってる範囲でいいから教えてくれよ」
「……うん、分かった。」
そうして、彼女はこの世界について話し始めた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます