俺が想像してた俺TUEEEEEと違うんだけど!?
お布団
脱獄編
プロローグ
目を覚ますと、そこは真っ白な部屋。
あたりにも何もないし、生活感も0。
マンションの空き部屋でもこんな殺風景じゃねえよ、とツッコミたくなるほどだ。
「……いや、ここどこだよ!?てか俺なんでここに…」
そこで、ふと思い出した。
確か俺はいつも通り友達と話しながら帰ってたら居眠り運転のトラックに突っ込まれたんだったな。
「クッソ…あのトラックのナンバー覚えたからなマジで…!」
まあでもその行動が無駄なことはだいたい分かる、ここ死後の世界だろ。天国だろここ。いや地獄か?どっちにしてもまさか本当にあるとは思わなかったわ。
と、辺りを見渡すと周りに誰もいないようなので俺の思いを叫ぶとしよう。
「だぁぁぁクッソまだ死にたくなかったわ馬鹿!!!女性にまだモテてねえのに!!!つか天国って天使がいるもんじゃねえの!?!?」
頭を掻きながら叫ぶと、真っ白なドアの方からノックの音が聞こえてくる。
思わずそっちの方を見ると、部屋に入ってきたのは白髪に白いひげを生やした老人の男性だった。
なるほど、多分こいつが神か。こいつの機嫌次第で俺が天国行きか地獄行きかは決まるのだろうか。その考えが脳裏に浮かぶと、俺は綺麗にお辞儀をした。
「はじめまして。俺は“───”。あなたが神でよろしいでしょうか」
「いや、違うけど?」
「違うんかい!!!!!」
思わずその言葉に全力で叫ぶ。いやこれに関しては俺悪くないと思う。
「正確には、ワシは異世界転生の担当者じゃ。」
「へぇー異世界転生……異世界!?!?」
つまり、それが意味するのは。
俺は異世界転生すると、そういう事だ。
となると、もしかすると俺の野望が叶えられるかもしれない。
そうなると、未練はあるもののだんだんと顔に笑みが浮かんできた。
「異世界のことは知ってるようじゃな。最近日本では自殺者が多くての、天国に入りきらないんじゃ、そちらの言葉で説明するなら「定員オーバー」じゃな」
「妙にリアルだな天国。そんな話聞きたくなかったよ」
そんな天国事情ホイホイ言って大丈夫かこのご老人。
流石にまずいとこの神もどきも思ったのか、唐突に話を切り替えた。
「まあそれはさておき、異世界転生するにおいてひとつだけ願いを叶えることになっておる。お前に叶えたい願いはあるか?」
「ああ、勿論だ…俺を「俺TUEEEEE」の状態にしてくれ!!!」
神もどきにそう叫ぶ。
すると、その神もどきは少し目を見開いた。
「……俺つえーとはなんじゃ?」
「つまり「俺最強」にして欲しいって事だよ!そっちにも分かるように言えば…そう、チート!」
そう言えば神が「ああ」と納得したように頷く。
「その願い承ったぞ。それでは、その魔法陣に乗ってくれ。」
「分かった。頼むぞ、神」
そう言うと、目の前に現れた魔法陣に乗る。
そうしてまばゆい光が魔法陣から放たれ、すぐに反転して俺の視界は真っ暗になった。
そうして、俺がこの世界に生まれてからたぶん3年が経つ。
俺はカイリーナ家という平民の生まれだが、俺TUEEEEEは村生まれだとよく聞く。悪くはないだろう。
まあまだ俺TUEEEEEの実感は湧かないが周りの同い年よりは強いし、気になるのはこの肩にある謎の卍と魔が混ざったみたいな字…まあ、気にしなくてもいいか。
そうしていつも通りに遊びに行こうとすると、両親に「待ちなさい。レオ」と止められる。
いつになく険しい顔で、俺は少し息を飲んだ。
「え、何…どしたの、父さんと母さん」
「その印についてお父さんとお母さんで色々調べてみたら、一つのことがわかったの」
「その印は古くから言い伝えられてる呪いの刻印らしいんだよ」
……は?呪い??え????
困惑する俺をよそに、話はどんどん進んでいく。
「魔王が植え付ける呪いらしいの。本当に嫌だけど……それがわかっちゃった以上、私たちはあなたを国に差し出さないといけない……ほんとに、ごめんね…ッ」
と、母親に謝られたのが数時間前の話。
俺は誰もいない牢屋に兵に連れられて、無理矢理押し込まれて去り際には「お前は一週間後死ぬことになる。世界の安寧のためにな」と言われて兵はどっかいった。
そして、俺は一人きり。
赤ん坊の頃の記憶はないが、久しぶりの一人きりである。
もう人がいるとかいないとか知らん、この部屋には少なくともいないから思い切り叫ぼう。
「神このやろぉぉぉぉぉぉ!!!!!」
もう腹たった。俺決めたよ。腹いせに呪い植えつけた魔王倒してやる。
そして…
「ぜっっったいに…俺は女性にモテてやるんだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
そんな俺の叫び声が、この部屋全体に響いた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます