#27 五章エピローグ

――……下がれ!……今すぐ!!……――



――……ダメ、このままじゃ……!!……――



――……!……ったって、しょうがな……!!……――



――……クルツっ! しっかり……!! ああ……!――



――……嘘でしょ?! 嘘と言……!!……――



――……違う!……――



――……なんで……?……――



――……!!……まだ間に合……!!――



――……マギーーーーーッ!!……――



――……ああ……! ああ……!……――



――……そんな……でも、だって……!……――



――……どうして……――



――……やり直したい……!――



――……ごめん、本当に……――



――……ごめん……――










 冒険者パーティ〈エレメンタル・マスター〉ウィンスター教会。

 王国暦XXX年10月某日全滅。

 

 前衛・魔剣士・パーティリーダー、クルツ・ゴダート。享年17歳。

 前衛・魔剣士、ユーフェン。享年18歳。

 中衛・斥候/魔術師、マーガレット・ヒギンス。享年19歳。

 中衛・魔術師、アイリス。享年2300と3歳。

 後衛・魔石戦士、グレアム、通称「罰当たり」のグレン。享年17歳。

 

 当日は馴染みのシェルパと共に70階層ポータル移動後、徒歩ではぐれ階層へと移動。

 そこで一泊のキャンプを行い、魔力炉付近でパーティ全滅。

 死因は攻性魔弾の直撃。

 攻撃は後方からのものと思われ、争った様子はなかった。

 盗まれたものはなく、場所がはぐれ階層であることから盗賊等の可能性は除外する。

 

 事前にギルドに提出された潜行予定表によると、当日はソロ冒険者オリヴィアの同行が予定されていた。

 しかしオリヴィアに急な来客があったため、結果的に同行はしていない。

 なおオリヴィアと来客と思われるドワーフがカフェで談笑しているところが目撃されているため、この事故には関与していないものと思われる。

 

 罠等の存在が疑われたが、その痕跡は見つからなかった。

 また魔石を攻撃に転用できるような道具も発見されていない。

 

 同階層の「水のない噴水」に水が湛えられていたほか、付近に宴会等の痕跡があり疑問視されたが、おそらくウィンスター教会によるものと判断、事故とは無関係であると判断された。

 

 事故発生当時、近辺に攻性魔弾を扱える冒険者は存在しなかった。

 研究者によるとポータルを通って他階層から高レベルモンスターが紛れ込んだ可能性があるという。

 しかし調査によるとポータルの設置は完璧であり、その可能性は無視できる程度には低いと結論づけられた。

 

 捜査は打ち切られた。

 

 ▽

 

 それから約五年の時が過ぎ、残された登場人物たちの心の傷がようやく癒えた頃。

 死んだはずの冒険者「罰当たり」のグレンが、「ダイチ」と名乗る少年となって姿を表す。

 

 そして時は現代へと戻る。


 終わったはずの物語は、5人の子供達を中心にゆっくりと動き始める。



=====


 これにて五章完結です。

 明日からは現代に戻り、六章がスタートします。

 どうぞよろしくお願いいたします。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る