#5
翌日、ウズウズしながら放課後を待っていると、いつものようにカナちゃんと水無月さんが声をかけてきた。
はぁ……カナちゃんは今日も可愛いなぁ。
水無月さんが興味津々と言った感じで話しかけてくる。
「昨日はどうだった?秘密基地は見つかったの?」
「知らねぇよ、教えねぇよ」
ケンゴがぶっきらぼうに返事すると水無月さんは
「裏山のほうに、荷物持っていった、って、他の男子から聞いたよ」
と得意そうに言い返す。
うっ、となってケンゴは何かを言い返しそうになる。
そんな二人を横目に、カナちゃんはこっそりと
「見つけたみたいね。ねぇ、今度招待してよ」
とぼくに囁いてきた。
「喜んで!」と叫びそうになったところを、コータがガバッと遮った。
「一応男同士の約束とかそんな感じだからさ、勘弁してよ、一庫さん」
おのれコータ。カナちゃんだけならいいじゃんか。
「残念」
そう言って、カナちゃんは特に残念でもなさそうに笑う。
「ダイチは口軽すぎ」
コータがぼくをジト目で睨む。
「なんと。ぼくは秘密は守れる男だぜ」
「はぁ……うん、相手が一庫さんじゃなければね」
そういってコータはため息を吐く。
だってカナちゃんが可愛いんだから、しかたないじゃないか。
うしろでギャーギャー喧嘩しているケンゴと水無月さんを放っておいて、ぼくとコータ、そしてカナちゃんがグループになる。
いつもの流れだ。
教室のドアがガラッと開いて、先生が入ってくる。
「おーらー、みんな席つけぇー。始めるぞー」
先生の号令で授業が始まる。
その間、ぼくらはずっと、秘密基地のことで頭がいっぱいだった。
▽
放課後、ぼくたちはダッシュで婆ちゃんちへ向かう。
カナちゃんと水無月さんが何か言っていたけれど、今日はそれどころじゃない。
秘密基地だ!
婆ちゃんちに寄って、挨拶もそこそこに、荷物を持って洞窟へ向かう。
石段を駆け上がって、坂を下り、川沿いを進む。
巨大な赤い岩のあるところを右に曲がり、石段を登り、少し進めば、洞窟だ。
急げば5分もかからなかった。
「おーっと、お前ら! ちょっと待った」
ケンゴがそう言って、洞窟の前で立ち止まる。
「まずは、会員証を出せ!」
「会員証?あ、お守りか」
首から下げたお守りを取り出して見せる。
「はい、もちろん持ってきてるよ」
コータも首から取り出して、三人で見せ合う。
「よし、本物のようだな。入場を許可する!」
ケンゴが頷いて宣言した。
「なんでケンゴが許可してんの」
「ダイチ、だってケンゴだもの」
「そう、もちろんオレがリーダーだから!」
ケンゴが「反対意見なんてあるわけない」と言わんばかりに名乗りを上げる。
いやまぁ、そもそもリーダーが必要だとすら思ってなかったんだけど。
「じゃ、ケンゴがリーダーってことで」
「異議なし」
「じゃ、お前ら、レッツゴー!」
拳を振り上げて、洞窟へ向かう。
「よし、荷物置こうぜ」
「懐中電灯、懐中電灯」
「どうする?イスとか机、もらってくる?」
「また次でいんじゃね?とりあえず洞窟の奥探検しようぜ!」
「リーダーが言うんじゃしょうがないね」
ぼくたちは、荷物を起き、洞窟探検することに決めた。
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