第10話 ENDmarker.
聞こえてしまった。
相貌失認について考えながら、いつも通り帰っていて。駅前のターミナル。あの日と同じ、夜。人混みのなかで。なんとなく上を見上げたら、流れ星が、一筋だけ流れる。
そして、自分の前で、誰かが、たしかに言った。一目惚れした彼に会わせて。そう聞こえた。
この人混みの、かなり近いところに、彼女がいる。
探そうとして、やめた。
相貌失認の人間が、この人混みで、急に声をかけられたら。きっと、こわいだろう。
あきらめるべきだった。どこからどうアプローチしても、顔を覚えてもらえないのなら、結局ストーカーみたいになってしまう。誰だって、初対面の相手からいきなり声をかけられたら、こわい。
恋が、始まる前に終わった。
もういちど、上を見る。流れ星。一筋だけ、流れていく。
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