第6話
学校は最悪だった。
教師が率先して無能の烙印を押し付けてくるので、クラスメイトもそれが正しいのだと私を無視したり虐めるようになった。
悔しくて基本教科を頑張ってクラスで一番の成績を採った。
でも、スキル訓練に関しては私の為のチュートリアルは存在しなかった。
いつも1人で試行錯誤するだけ。
でも、1つ分かったことがある。
歌を聴いてくれる人が居なければスキルは発動しない。
つまり、歌を聴いてくれる人さえ居れば私のスキルは発動するのだ。
ただ、問題は発動したからと言って何が起こる訳でも無いという事実。
この半年を経て辿り着いた結論がこれだった。
もう、笑うしかないな。
「ははっ」
涙が流れた。
今までどんなに無視されても酷い事言われても、ちょかいを出されても我慢して来たのに。
もう、無理なのかな?
もう、スキルになんか振り回されたくないよ。
「あ、アリサちゃん…」
突然背後から声を掛けられた。
涙を拭い振り返る。
「誰だっけ?」
「う…ん。そうだよね。……アリサちゃん。ごめんなさい!」
「?」
「私、アリサちゃんを救えるのにアリサちゃんに関わったら、私も一緒に無視されたり虐められたりしたらって……そう考えたら怖くて…でもそんなアリサちゃんを見てるのも辛くて、だから!」
「何を言ってるの?」
「私、私!アリサちゃんのスキル使い方分かるの…」
「どう言う事!」
「私、私のスキル鑑定だから…アリサちゃんのスキルの説明が見える…の」
「嘘!?」
「ほ、本当だよ」
思わず縋りついてしまう。
「お願い!私のスキル何なの?どうやって使うの!」
「痛っ」
「あ!ご、ごめん」
「ううん。私こそ、ごめんね。今まで黙ってて」
「ううん!それこそ、ごめんだよ!貴女にそれを伝える義務はなかった。ありがとう…えと、貴女お名前は…」
「私はララ。ヤクト村のララよ。私も同郷の出身がいないの。本当はもっと早く伝えたかったけど、一緒に居るとこと見られたら私もって思ったら怖くて、だけどスキルの訓練時間ならアリサちゃん1人だし、今ならと思って」
「うん。うん。ありがとう…ありがとうララちゃん」
「ううん!こんな弱い私を許して」
「そんな事ない!ララちゃんは強いよ。弱かったらきっと思うだけで行動出来ないよ。だからララちゃんは強いよ」
「アリサちゃん…ありがとうアリサちゃん」
こうして私はようやくスタートラインにたった。
この日から私は駆け上がる!
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