おわりに 解説

 「そしてコギトの彼方まで」を読んで頂き有難う御座いました。


 作品のタイトルに入っているコギトとは、ラテン語のcogitoに由来します。デカルトによる哲学命題であり、自己意識を表す言葉です。エッセイであり日記でもある本作品は、まさに自己意識の表出であるため、この名前にしました。


 各話のテーマは、小野小町の歌に由来します。恋愛について多く歌ったことで知られる小野小町は、その感受性の豊かさから、情緒的で美しい歌をいくつも残しています。

 以下に、各話で参照した作品を紹介しておきます。詳しい意訳は、古文の先生にお任せします。


①思ひつつ 寝ればや人の見えつらむ 夢と知りせば覚めざらましを

  -[① 他人と知りせばかけざらましを]


②人に逢はむ 月のなきには思ひおきて 胸はしり火に心やけをり

  -[② 胸走りブランデーに心焼けをり]


③あはれてふ ことこそうたて世の中を 思ひはなれぬほだしなりけれ

  -[③ リングイネ、思ひはなれぬ絆しなりけり]


④秋の夜も 名のみなりけり逢ふといへば 事ぞともなく明けぬるものを

  -[④ コロナとて事ぞともなく明けぬるものを]


⑤わびぬれば 身を浮草の根をたえて さそふ水あらばいなむとぞ思ふ

  -[⑤ さそふ水あればいなむとぞ思ふ]


⑥海人のすむ 里のしるべにあらなくに うらみむとのみ人の言ふらむ

  -[⑥ 「意外」とのみ人は言ふらむ]


⑦夢路には 足もやすめず通へども うつつにひとめ見しごとはあらず

  -[⑦ アクロイドに会いたくて 現に一目見しごとはあらず]


⑧かぎりなき 思ひのままに夜も来む 夢路をさへに人はとがめじ

  -[⑧ 新宿へ 夢路をさへに人は咎めじ]


⑨色見えで 移ろふものは世の中の 人の心の花にぞありける

  -[⑨ 変わらぬ心で 人の心の花にぞありける]


⑩花の色は 移りにけりないたづらに わが身世にふるながめせしまに

  -[⑩ 星が降るのを眺めるうちは]


 最後までお付き合い頂き誠に有難う御座いました。

 私は、本作品を大いに楽しんで書くことができました。これを読まれる方も、大いに楽しんで読んで頂けたら幸いです。

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そしてコギトの彼方まで 朝沢コール @asazawa19

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