じいちゃんへ。
四十九日を終えて。
先日、筆者の母方のじいちゃんが亡くなりました。
老衰だと思います。
筆者が知る限り大きな病気も怪我もなく、数日前に百歳の誕生日を迎えたばかり。ここ1年くらいは骨折して入院したり、それによって出てきた認知症の進行があったりしましたが、それでも晩年までサービス付き高齢者向け住宅で暮らせるほど元気でした。
彼の訃報を筆者は職場で聞きましたが、葬式等は火葬場の状況か一週間後になったため、その日は実家へは戻らず、都内の自宅に戻りました。
そして夜も更けてお風呂に入ろうと脱衣所に向かったところ、床にイモリだかヤモリだかが居ました。
茶色くて細くて、なんか乾燥していたのかシワシワしているイモリだかヤモリでした。
最初はピクリとも動かなかったので、迷い込んでから随分時間が経っていまっていたのかと思いましたが、チラシで掬おうとしたら筆者の手へ上ってくる。
生きているソレは触れるので、そのまま玄関へ。
庭に逃がしたとたん、ふと「アレはじいちゃんだったのではない」かと思いました。
じいちゃんは痩せ型小柄で、日に焼けて色黒で、皺もありました。
筆者のところへ最期に様子見をしに来てくれたのではないか。
そうだったら、嬉しいです。
それ以来、あのイモリだかヤモリだかは見かけていません。
余談ですが、じいちゃんが亡くなる1ヶ月くらい前に、実家の庭に野生のウサギが現れました。
隣の施設で一時期ウサギを飼っていたので、それが逃げ出し、成長または繁殖した個体ではないかと思っていましたが、葬式のあと、母がぽつりと言いました。
「ばあちゃん、卯年だったのよ。だからアレ、ばあちゃんが来てたんじゃないかな」
だそうです。
じいちゃんを迎えに来たのか、ただの野ウサギか。
とりあえずまあ、じいちゃんばあちゃんを想い、十念します。
柚科葉槻の怪談噺。 柚科葉槻 @Yushina_0w0
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