一話 二人は親友②
父さんに見送られた言葉が凄く嬉しくて、家を出る直前泣きそうになるのを必死で堪えた。それからも、中学に向かう途中、僕はずっとずっと……悲しくて仕方なかった。
男のくせに、学校までの道のりを何度も泣きそうになりながら、一人で向かって歩いていく……本当なら父さんも入学式に来てくれるはずだったことを思いながら……。
その後、中学の入学式は無事に終わったけど、小学校で同じだったメンバーが中学でも一緒なので、学校が違うだけで特に環境が変わったりはしていないので、クラスに戻り担任の話を聞きながら、いつも通りだなと感じている自分がいた。
そのせいか、入学式の後、家に戻ってから自分の部屋に籠ると、本当に独りぼっちになってしまった感覚に陥ってしまい、寂しくて男のくせにまた泣いてしまったのである。
夜になると、家に父さんから電話が掛かってきたので、母さんから電話を代わって会話をする。
「お前、今日は沢山泣いたそうじゃないか……入学式から帰ってきてからも、部屋で泣いてたって母さんから聞いたぞ!」
どうやら、母さんに泣き声を聞かれてしまっていたらしい。恥ずかしくて、わざわざ部屋に篭って泣いたというのに……。
「うん、だって父さんがいないと思ったら寂しくなっちゃって」
父さんが単身赴任に行ったばかりの日に、こんなにも泣いてしまったので、物凄く恥ずかしくて仕方がなかった。
大好きな父さんに心配かけないようにしようと思っていたのに、一日目からこんなに泣いて僕は最低だなと感じながらも、正直に寂しいと伝える。
「お前が寂しい気持ちは、父さんも同じ気持ちだからよく分かるよ! でも、もう会えなくなる訳じゃないんだからな!」
父さんは単身赴任してしまい、住んでいる距離が離れてしまったけれど、一ヶ月に一度は泊まりで帰って来れると話してくれていたから、会えなくなる訳じゃないことくらい分かっている。
「うん、其れは分かってるよ……でも……」
僕には父さんがいないと駄目なんだ! 強くならなきゃいけないことくらい分かっているけど……。
「こんなにも父さんのこと好きでいてくれてありがとうな! でも、お前は男何だかから、辛い時や寂しい時は泣いたって良いけど、父さんの子なんだからもっと強くならなきゃ駄目だそ! 父さんも仕事頑張るから、お前も頑張れよ! スマホ渡したんだから何時でも連絡していいからな!」
恥ずかしながら、僕は大好きな父さんに励まされてしまった。そして、昨日スマホを父さんから貰ったことを思い出す。
「うん、そうだよね! 泣いてなんかいないで頑張るよ。スマホ大事にするね。ありがとう」
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