第3(♂)話 この再会は間違っている。
「やべ〜! 生徒手帳落とした!!」
「桜条⋯⋯お前さっきの⋯⋯」
「いやそんなことより生徒手帳落としたんだって!」
なんとなくどこに落としたかは分かっている。
絶対窓から落ちた時だ。
そして、嫌なことを考えてしまった。
「王子に拾われてるかも⋯⋯」
「マジ?」
「まじマジよ⋯⋯」
※
「さっきの人は⋯⋯1年3組か、だが二ノ舞か⋯⋯どこかで聞いた事ある名前だな」
「姫野様〜! 大丈夫ですか?」
「あぁ、大丈夫さ」
「にしてもさっきの女⋯⋯思い出すだけで腹が立つわ!」
「⋯⋯さっきの人は男の子だよ⋯⋯」
「え、男!?」
「あ! 私それ知ってるわ! 確か……」
学校一の美少女……ただし、男。
確かに、言ってしまたら悪いが、この学校の女子よりとてーもかわいい。
まるでアニメや漫画のキャラクターのような見た目をしている。
しかし、荒っぽい性格から女人気はない。代わりに、男人気のほうがあるようだ。
「男なのに女のような見た目をしていて、同性にモテモテか……あれ? 私と似てないか?」
私は女だが、男のような見た目をしていて、同性にモテモテ……。
って、そうだ!早く1年3組に行かなくては!
ガラララッと教室の扉が開けられた。
「二ノ舞桜条君はいますかー?」
「……ってやっぱり来た!!」
「生徒手帳落としてましたよー!!」
ダッと席を立ち、気まずいなーと思いながら生徒手帳を取りに行った。
スタスタ
「なんかさーせん⋯⋯」
「私は構わないよ、はい、次は落とさないようにね!」
「あざま――」
その瞬間、ガクッとこけてしまった。
そして、そのまま王子の方へ倒れてしまった。
バッタン!!
「いって……あ、大丈夫っスか!?」
「……あの……ちょっと……」
「え、はい?」
「……手……どけてもらえますか……?」
俺の両手は王子の胸に触れていた。それも結構ガッシリ。
てかこれあれだ、こけた拍子に胸触っちゃう、ラッキースケベだ。
……じゃない!手ェどけないと!!
「あ!! マジすいません!!」
「い、いや……大したことじゃ……ある……」
「ほんっっっとすいません! 殴って下さい!!」
「な、殴るって!? そんな大げさなことじゃないよ! それに事故だし!! ⋯⋯」
「あの⋯⋯」
「⋯⋯それじゃあ! ⋯⋯」
王子は何事も無かったかのように、爽やかに去って行った。
「やっちまった⋯⋯」
「桜条⋯⋯お前やらかしたな、通報案件だぞ」
「やべーって! 俺学校生活終わったかもしれん!!」
「⋯⋯いや、それは大丈夫だと思う」
「え? なんで?」
「いや、俺たちからしたらさ⋯⋯女が男の胸に触ったっていう訳の分からない状態だったからさ」
「⋯⋯そうか⋯⋯」
改めてこの見た目で良かったと思ったわ。
すると、友達が眉間に眉を寄せ、問いかけてきた。
「それよりも⋯⋯"胸の感触"はあったのか?」
「⋯⋯は、胸ェ?」
「あれでも女だろ? 胸の感触はどんなだったのかなーって!!」
「
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