第4(♀)話 この待ち合わせは間違っている。
胸の感触⋯⋯あン時は焦りで頭がパンパンだったから、あんま覚えてねぇ⋯⋯。
だけど、確かに一つだけ覚えてる事がある。
⋯⋯本当に女だなーと⋯⋯。
※
「けつげぇ〜屁ぇ〜おならぁ〜」
「おい永谷、ふざけないでちゃんとやれ」
「⋯⋯気おつけ、礼、さよなら」
今日はカオスなことがあったが、まぁいつも通り時間は流れて行った。
「ひ⋯⋯桜条〜帰ろうぜ!!」
「おい今言いかけただろ」
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい」
「ジュース奢れ、そしたら許す」
「ったく、分かったよ〜」
当たり前に学校は終わった。
訳もなく、その矢先――。
『姫様! 姫様! ひーめ姫!!』
『姫様のお顔はいつ見ても絶品でやんす!』
「はぁ!? テメェらまた来やがったのか!?」
こいつらは俺のファンだ。
しかも勝手にファンクラブなんか作りやがったガチキモオタクだ。
「前やめろっつたよなぁ!? 部室崩壊させてやったのにまだやってんのかよ!」
『姫様の顔を拝めるのであれば、部室の1個や2個、おやすい御用ですよ⋯⋯!!』
「学校側がおやすくねぇだろ!!」
「なぁ桜条⋯⋯これ普通に学校に言った方がいいだろ⋯⋯」
「え? あ、あーとぉ⋯⋯そ、それはまだいいかな!!」
いや、学校に言うとこいつらからカツアゲしたことバレそうなんだよな⋯⋯。
『何があろうと、我がファンクラブ、"マジカル・ラブ・オージョー"は不死身なのさ!』
「⋯⋯分かった⋯⋯お前らのリーダー誰だ?」
『そ、それは言わないように口止めされている!!』
「なら口切ってやんねーと分かんねぇなぁー!?」
『
永谷京平って⋯⋯さっきふざけてたやつか⋯⋯てかこいつら口柔らかすぎだろ!
「よし、俺は今から永谷をボコしてくるから待ってろよ?」
『ふぁ、ふぁい!! ⋯⋯暴言吐かれるのも気持ちいい⋯⋯』
「うわきも」
「なぁ桜条⋯⋯公園で待ち合わせの件はどうするんだ?」
「あ⋯⋯忘れてた」
遡ること昼休み。
「桜条、生徒手帳胸ポケットに入れるから落とすんだよ」
「えー⋯⋯じゃあどこにしまうって言うんだよ」
「いやカバンに入れるとかあるだろ」
「⋯⋯お前天才か!?」
さっさと胸ポケットから生徒手帳を取り出した。
すると、フサッと何かが落ちた。
「ん? なんだこれぇ?」
「あ、うしろなんか書いてあるぞ」
「本当だ、これ⋯⋯手紙か?」
「どんな内容だ?」
二ノ舞桜条さん、6時に
by姫野
内容はこんなのだった。
「ひ、姫野って⋯⋯王子だよな?」
「返す前に挟んでたのか?」
「⋯⋯訳分かんけぇけど⋯⋯行くしかねぇのかぁ?」
「お前どうせ暇だろ、部活入ってないし」
「そりゃあまぁ⋯⋯」
「行ってみろよ、ついでにちゃんと謝った方がいいんじゃねーの?」
ということで、公園へ行く事になった。
そして現在の時刻を見ていると、6時11分。
普通に寝坊した!!
俺はただ、ひたすらダッシュをした⋯⋯。
「⋯⋯こない⋯⋯気づかなかったか⋯⋯」
「ぅぅううぉおおおおいいッ!!」
めちゃくちゃ走った。
そして今の時刻、6時23分!ふつーに遅刻!
「はぁ⋯⋯はぁ⋯⋯悪い、寝てた!」
「いや、私の方こそすまない、突然呼んでしまって⋯⋯」
「⋯⋯で、用はなんスか?」
「えーと⋯⋯なんというか⋯⋯君、確か部活は入っていないよね?」
「え?あっはい」
すると、ベンチに腰を掛けていた王子は立ち上がって、俺の方へ近づいてきた。
「えっな、なんスか!?」
「強制はしない⋯⋯だが、君の悩みも解決出来るかもしれない!」
「だからなに話てんスか!?」
王子は俺の顔ギリギリまで来てピタッと止まった。
そして、爽やかにこう言った。
「ラブコメ計画部に⋯⋯入らないかい?」
「おぉ⋯⋯ほへぇ?」
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