第6話 わたしだって、たまには……!

 正也さんとの関係が正式に終わってから、一週間が経ちました。つまり正也さんに別れを告げられてから、およそ一ヶ月が経ちました。


 今は唯子ちゃんの部屋で一緒にのんびりテレビを見ながらお菓子を食べたりしています。今日は日曜日なのでずっと一緒に家にいられます。他の曜日でもずっと一緒にいますけど。えへへ。


『ここ数日傷害事件が多発している件についてですが、警察は調査を――』

「えいっ」

「あ」


 テレビでなんだか物騒なニュースをやっていましたが、唯子ちゃんは興味なさげにリモコンで電源を切ってしまいました。なんだかゾンビ映画の導入みたいでわたしは気になったのですけど……。


「こんなのより、あたしを見て……」

「んっ……」


 見ていたテレビを消されて茫然としているわたしに、唯子ちゃんは突然キスをしてきました。ポテトチップスのようなしょっぱい味がしました。でも感触は少し湿っていて、すごく温かいです。茶色くて少し伸びてきた髪からは、甘いシャンプーの香りがしました。


「ん……」

「うぅ……」


 自然と声が漏れてしまいます。そして唇だけではなく、両手も重ねて、そのままベッドの上に転がりました。


「はぁ……」

「んんっ……!」


 脚も絡ませ合いました。距離が一気に近くなりました。ここまでいけば、お互いのあらゆる場所に触れられます。唯子ちゃんの激しい鼓動が、はっきりと伝わってきました。


「わたしだって、たまには……!」


 唇が解放されたので、わたしは唯子ちゃんの服の中に潜り込みました。顔中に大きくて柔らかい感触と熱い感覚が伝わります。


「ちょ、そこ……」

「えいっ……」

「あぁ……」

「んっ……」


 そうしてわたしたちはお互いを感じ合いました。思っていたよりも関係は大きく変わってしまいましたが、わたしは唯子ちゃんが大好きです。


 これからわたしたちがどうなってしまうのかは、正直まだ、わかりません。


 だけど、唯子ちゃんとならきっと大丈夫。


 わたしは、そう思います。

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