第168話 まったりと触れ合い
俺がトールの元を離れた瞬間、嫁たちがトールを連行するのが見えたが、仲睦まじいのに代わりはないし俺はそれを優しく見守って自室へと向かった。
先にアイーシャに本日の報告をして貰っているはずたが、アイーシャのことだし、今日のことを少し脚色したり、面白おかしく伝わっていることも覚悟で自室へと入る。
自室……なんて言ってるけど、俺の部屋というよりは婚約者達との憩いの空間と言うのが自然なのかもしれない。
プライベート空間ではあるけど、婚約者達は一応ある名目上の自室よりも、俺の部屋で過ごすことが多いし、部屋も広いので気がつけば夫婦の寝室のような扱いにさけなっていたが、気にすることもないだろう。
部屋に入ると、ふわりと優しい香りにつつまれる。
それだけで帰ってきたと安心感が湧くのだから我ながら単純なのかもしれない。
「エル様!お帰りなさいませ!」
室内では、楽しげに談笑する婚約者達の姿があり、最初に反応したのはうさ耳美少女のアイリスであった。
嬉しそうに近寄ってくる。
「エルダート様、お帰りなさいませ。お仕事お疲れ様でした」
「……主、お帰り」
続いて、レイナとセリィが迎えてくれるが、本当に三者三様の反応にはほっこりされられる。
「うん、ただいま。食事の件は聞いてるかな?」
「はい、準備は問題ありません」
「そっか、頼りになるよレイナ」
「いえ、私だけでなく皆さんがとても優秀なので」
そう控えめに言いつつも嬉しそうにはにかむレイナ。
普段はアイリスと並んで癒し系美少女のレイナだが、こういった事態にも冷静に対応して控えめながらもリーダーシップを発揮出来るこの子は、やはり俺の正妻にぴったりなのだろうと思う。
「アイーシャから軽く話は聞いてるかな?」
「……デートの件?」
「いや、アクセル義兄様の件」
というか、デートの件も話したのだろうか?
デートと呼ぶのかは不明だが、疚しい気持ちはないので気にする事はないのだが……真っ先にそちらを浮かべるとはセリィさん俺の事からかおうとしたのかしら?
「はい、軽くは伺っていますよ」
やんわりと答えるレイナは流石王族というか、冷静であった。
その一方、アイリスの方は少し不安そうな表情をひていた。
「皇子様とお食事……うう、不安です……」
……というか、口にしていた。
そんな表情すら可愛いが、心配ないと微笑むと俺はアイリスのフォローに回る。
「大丈夫だよ。アクセル義兄様なら多少のマナー違反は気にしないし、アイリスはいつも綺麗に食べてるしね。それに、俺はアイリスが美味しく食べてる姿が好きだから、そこは変わらないで欲しいかな」
「はぅ……わ、分かりました……」
照れ照れなアイリスさん。
うさ耳が隠しきれない嬉しさを表してる辺り、実にキュートであった。
本当に愛でるのに飽きない子だこと。
「……主、私とレイナ様は?」
いつも通りだが、ちゃんと控えめなレイナの少し知りたいことも一緒に尋ねてくるセリィ。
本当に仲良くなったものだとしみじみ思いつつも俺は勿論と頷く。
「当然、2人もいつも通りで大丈夫だよ。レイナはいつも上品で美しい所作で食べてるから、心配してないし、セリィも気にせずいつも通りでいいよ」
「……じゃあ、先に少し飲みたい」
まあ、セリィにしてみたら、普通の食事もいいけど俺の血が大好きなので欲しくなるのも当然か。
しかし、一応、毎日あげてはいるけど、夕飯前に欲してくるのは珍しいかもしれないな。
「構わないけど、夜じゃなくていいの?」
セリィ曰く、日が沈み、寝る時間の頃合が一番血が美味しくなるらしい。
なので少し疑問に感じていると、セリィはポツリと言った。
「……うん。今がいい。主が早く欲しい気分」
うむ、よくは分からないけど、お望みなら受け入れるのが俺の役目なのでセリィに美味しく血を飲んで貰う。
「あの、エル様」
「ん?どうかした?」
「その……」
血を吸われていると、その光景を見慣れているアイリスとレイナはどこか言いづらそうにしつつも明確な意志を示していた。
曰く、『自分たちももっとイチャイチャしたい』と。
「2人ともおいで。今日の話も聞きたいしね」
男の度量を見せる時ということで、優しく2人にそう告げると嬉しそうに近寄ってくるアイリスとレイナ。
さり気なく、アイーシャも混じっていたが……そういえば、アイーシャはあまり俺がセリィに血を与えてる光景を見たことないのに動じた様子はないな。
まあ、アイーシャらしいといえばらしいけど。
そんな訳で、俺はセリィにいつもより少し多めに血を持ってかれつつ、魔法で増血をしつつ、レイナとアイリスと触れ合いまったりとした時間を過ごすのであった。
あれだね、こういう時間が最もエンジョイしているように思えるから、今後ももっと婚約者達と時間を取るべきなのかもしれないね。
明日は、トールの先約があるので無理だが、明後日辺りからはいけるかな?
普段は俺の嫁になるために色々と頑張ってくれてるので、3人の息抜きは必須だし是非ともやるべきだろう。
老後はもっとまったり過ごしたいものだとしみじみ思う今日この頃。
まあ、その前に結婚だよね。
うんうん、楽しみが多くて有難いものだ。
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