第123話 子供の良さ

「おじちゃん!」


ジーク義兄様に用事があって、アストレア公爵家に行くと、丁度甥のフリードと出くわす。


今年で4歳になる我が甥のフリードは、スクスクと成長しており、ジーク義兄様とレフィーア姉様の血を受け継ぐハイスペックな美少年になっていた。


家も近いし、俺がレフィーア姉様やジーク義兄様に会いに行く関係で割と顔を会わせる機会も多いのだが、叔父である俺の事も慕ってくれており、会うと嬉しそうに抱きついてくる。


こういう所はレフィーア姉様に似たのかな?


「フリード、元気そうだね」

「うん!おじちゃんはお父様とお母様に会いに来たの?」

「まあね。フリードの顔も見たかったし」


そう言って頭を撫でると、嬉しそうな顔をするフリード。


少し大人びてはいるけど、まだまだ子供で可愛いものだ。


「おじちゃん、魔法の練習見てよ!」

「後で見てあげるよ」


フリードには、魔法の才能もあるので、俺は定期的にフリードに魔法を教えているが、アイリス程ではなくても、この子もかなり天才的な魔法の才能を、持っているようであった。


しかも、使える属性も三つもあって、将来が楽しみな子であった。


「でも、おじちゃんが来るなら、マリアンヌにもう少し居てもらえば良かった……」

「ん?マリアンヌ来てたの?」

「うん、さっき帰ったところ」


マリアンヌというのは、王太子であるシュゲルト義兄様の娘で、フリードの婚約者だ。


その子にとっての俺の立場としてはギリギリ叔父と呼ばれるような立ち位置だが、その子とも俺はそこそこ面識があった。


マリアンヌにも魔法の才能があって、時々魔法を教えているのだが、叔父として慕ってくれており、甥と姪の可愛さを知った俺は、多分将来的には子煩悩になるかもしれないも思うのであった。


甥と姪でこの可愛さ……自身の子供は益々可愛がりそうだが、婚約者達に似て可愛くなりそうで楽しみだ。


「マリアンヌもおじちゃんのこと大好きだから、会わせてあげたかったなぁ……」

「マリアンヌには後で会いに行くよ」

「本当に?」

「勿論」


そう返事をすると自分の事のように嬉しそうに笑うフリード。


本当にいい子に育ったものだ。


政略結婚……というか、大人の思惑の婚約ではあるが、フリードとマリアンヌは仲良しで、まるで姉弟のように微笑ましい関係であった。


マリアンヌの方が数ヶ月早く生まれてて若干お姉さんなのだが、それで少しだけお姉さんぶろうとするマリアンヌとそれを受け入れて慕うフリードという微笑ましいやり取りが俺としては好きだったりする。


「あ!そういえば、マリアンヌがおじちゃんと久しぶりお茶したいって言ってた」

「そうなの?なら、美味しいお菓子を用意しとかないとね」

「お菓子……僕も行っていい?」

「勿論だよ。マリアンヌと三人の方が楽しいでしょ?」

「うん!」


なんというか……叔父と甥というよりも、兄弟のような感覚が強い気がする。


少しだけ年下の弟と話してる気分。


これから、マルクス兄様や、リリアンヌ姉様、フレデリカ姉様はもうしばらく先かもだが……あと、レフィーア姉様もこないだ二人目を授かったらしいので、どんどん俺の甥や姪が増えていくが、楽しみでもあった。


レイナと婚約したことで、ダルテシア王国の王子や王女……まあ、レイナの義理の兄弟や姉妹とも割と関わりが出来たのだが、彼らとも仲良くなっており、その子供にも慕われているので、最近になって子供との関わりが増えたがそれが楽しかったりもする。


やっぱり子供はいいね。


「そうそう、実は新作の料理を持ってきててね。後で食べるといいよ」

「わーい!楽しみ!」


海産物なんかを使ったものだが、シンフォニア王国のあの未開の地の海にはもう何時でも転移できるので、これからは割と自由に海産物を食べれるようになったので、遠慮なく使うことにする。


ちなみに、フリードがお気に召したのはたこ焼きであった。


うん、たこ焼き美味しいしね。


中身のことは事前に説明したのだが、俺の家族は割と皆あっさりと受け入れて食べており、その辺は俺の事を信用してくれてるのだろうと嬉しくもあった。


婚約者達もそれは同じで、疑っていたのはトールだけであった。


まあ、何だかんだ言いながらあいつも食べるんだけどね。


ツンデレなのだろうが、俺にそれをしても無意味なので普通にして欲しいものだ。


ちなみにそのトールは屋敷に戻って早々にクレアに捕まってたので置いてきた。


仲の良い夫婦だが、それをどこか懐かしげに見るバルバンにはなんとも言えない気持ちになった。


とはいえ、それは俺が解決出来る類のものでもないし、バルバンなりに思うところもあるだろうから、そのうち癒してくれる人が現れるのを待つとしよう。


そんなことを思いながら、甥であるフリードとしばらく話すとレフィーア姉様とジーク義兄様の元に向かうのであった。


にしても……流石二人の子供というか、フリードは年齢の割に物凄くしっかりしている気がする。


地頭は俺よりも遥かに良いし、各種スペックも高く、容姿も美形……うむ、これが勝ち組か。





















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