第3話 魔法
朝食を食べてから、俺は魔法の練習と言いつつのんびりと中庭で水球を作り出してぷかぷか浮かせていた。
魔法の属性は全部で7属性あり、火、水、土、風、光、闇、無属性と別れており、1人で1つか2つの属性を持ってるのが一般的とされてる。
俺は、神様の計らいで全属性持ちらしいが、これは家族も知ってたりする。
隠れて練習してても、やっぱりバレるもので素直に話したが、家族はそれを知っても俺を悪用するつもりは無いようでホッとした。
アレルギーのせいで、制限の多かった前世だったので、今世は自由に生きたい!
……というのが、密かな目標だったりするのだ。
スローライフ万歳ってね。
さて、そんな訳で俺は全属性持ちなのだが、暇つぶしにこうして魔法を使っているのだが、1番得意なのはきっと、水魔法とその応用の氷魔法だろう。
これだけはいち早く覚えたからね。
あとは、魔力量を増やすためにひたすら幼い頃から魔力を使い切ることをしてきたので、魔力量も相当なものになっていたりする。
他の魔法は、まあ、ついで程度に覚えたけど、割と難しくなくて助かった。
そんな俺のお気に入りは、こうして水魔法で水球を作ってぷかぷかと浮かせることだが、これは昼寝してようが出来る自信がある。
オアシスなどの水に比べたら、多少劣ってるかもしれないが、綺麗な水は、何度見ても心が癒されるものだ。
小さな水球なんて、可愛くて見ててホッコリする。
「む、少し暑くなってきたかな……」
そう思って、軽く氷魔法の冷気を纏うようにする。
普通の砂漠に比べたら、多少マシなのだろうが、それでも日が出てるウチはかなり暑くなり、夜は冷えるので、魔法というのは実に便利だ。
氷魔法があれば、冷気を纏って快適に過ごせるし、火魔法があれば、調節して暖気にも出来る。
まあ、もちろん風魔法の併用も必須で、難易度は高めなのだが、努力の甲斐もあって今となっては日常的に使えるようになった。
ちなみに、この魔法の調節も家族は知ってるので、たまに冷房とか暖房代わりに母様や姉様に部屋に連れてかれることはあったりするが、まあ、その程度なら苦でもないので問題なかったりする。
涼しくなった所で、また水球をぷかぷか浮かべてボーッとする。
前世では飲んだり、触れたりする事が出来なかった水をこうして触れるのはなんとも言えない達成感があった。
まあ、家族や使用人達がこんな光景を見たら、奇異の視線を向けられそうだけど。
俺としては、海辺とかの国でも良かったのだけど、砂漠のオアシスの綺麗さも中々見事なので神様には感謝しかない。
何より、水が飲めて、お風呂に入れるのだから文句などあるはずも無かった。
まあ、ネットなどが無いので娯楽などの質は前世より格段に落ちるが、部屋に引きこもるのは飽きてたし丁度いい。
「エルー!稽古するわよー!」
そんな風にのんびりしていたら、フレデリカ姉様が早くも剣の稽古のお誘いに来た。
稽古着を着ているフレデリカ姉様は、とても凛々しく見えるので、同性のファンが多いのも納得出来るというものだ。
「姉様、まだ少し早くないですか?」
「エルと早く稽古したいんだもん!仕方ないでしょ?」
可愛らしい笑みを浮かべてそんなことを言われてしまう。
嬉しいような気もするが、このお誘いを受け入れると地獄のような稽古が待ってるのでどうしても躊躇ってしまう。
最初の頃は、剣術とか異世界っぽくてカッコイイ!なんて、思っていたけど、実際にやると地獄だった。
まあ、スポーツ経験が無いので、体を動かすのは嫌ではないのだが、如何せんフレデリカ姉様が強すぎて、心が折れそうになる。
身体強化系の魔法を使えばあるいは……とも思うけど、体への負担も大きいし、基礎が固まったらと決めているので使ってはいない。
まだまだ6歳児なので、やれる事に限度があるので仕方ない。
その割には、ハードな剣術の稽古をしてるが……まあ、手加減して貰っているのでまだ地獄程度で済んでいるのだろう。
前に、フレデリカ姉様が騎士団長と稽古してる所を見たが、あれは俺が入れる空間ではないと悟ったよね。
動体視力にはそこそこ自信があったけど、2人の姿がほとんど見えない上に、木刀なのにキィィィン!とか、謎の金属音が響いていたからね。
魔力で木刀を強化したのだろうけど、そんな音が響く場所に飛び込む勇気は無かった。
「ほら、行くよー!」
俺の手を掴んでウキウキと歩き出す姉様。
わざわざ弱い俺と稽古しなくてもと思うが、俺との稽古を楽しみにしてくれてるのは分かってるので文句を言わずについて行く。
その先は地獄の稽古だと分かってはいるが、嬉しそうな姉の笑みには逆らえずに甘んじて受け入れることにする。
まあ、フレデリカ姉様は優しいし、歳も近いから仲も良いのでこうして構ってくれてるのだろう。
前世は姉は居なかったけど、こういう姉なら今世は穏やかに過ごせるという確信もあった。
他の家族もみんな優しいしね。
ちなみに、この後の稽古は予想通りフレデリカ姉様にビシビシ扱かれるのだった。
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