第20話 雨

3回なった鐘によって起こされた俺は窓の外を見た。窓の外は水で濡れていた。どうやら今日は雨が降っているようだ。


(あー今日は狩りに出るのはやめようかな。

そこまで切羽詰まってないし、足元が不安定な状態で戦って怪我したら意味ないしな。午前中は魔力操作と魔法の練習をして午後は冒険者ギルドで体術でも学びに行こうかな。トルーヤさん体術も教えてくれるかな?)


「よし!じゃあまずは魔力操作からだな、今日で出来れば魔力の形をもっと滑らかにして体に纏うようにしたいんだけどできるかな?」


まず体の中に流れている魔力を感じていく、しかしこれは体内で回っており体外に出ている魔力は非常に微々たるものだ。しかしこの微々たるもののおかげで自分の出した魔法に触れても何も影響を受けないのだ。


どういうことかというと例えば雷魔法で雷球を出したとするそれを人が触ると普通なら感電して死んでしまうところだが、魔法を出した本人が触ったときは何ともない。これは以前俺が魔法の練習をしていたとき自分で出した雷球を出したときに誤って触れてしまった時に気づいたものだ。


この事から俺は少ししか体の外に出ていない魔力をもっと増やしこの魔力で体を包むことで水や雷を纏えるようになるのではないかと考えたのだ。


雷で言えば自家製スタンガンのような働きをすることになる。これを相手に触れることで当ててもいいし、また敵は俺に触れることができなくなる。


そしてこれに慣れていけば手に持った武器にも魔法を付与して戦うことができ、戦略の幅が一層広がるのでそれを目指して今日も練習をやっていく。


しかし特に変わったことをするのではなく光球、水球、雷球を目の前に浮かべ、それを維持しながら体内の魔力をより滑らかにかつ柔らかくに回るように循環させていく。


これによって魔力操作と各魔法のレベルを上げるという一石四鳥くらいのアイディアを考えついたので考えついてからはこれを毎朝やっている、と言ってもまだ2日目なのだが。


この練習を4時間ほど魔力切れになりそうになったら体内循環だけに切り替え、魔力が可愛くしたら魔法を使いというのを繰り返しているとお腹がなった。


(一旦ここで区切って朝ごはん食べに行こう)


階段を降りて食堂へと向かった。


「ケイおはよう!今日は起きてくるのが遅かったね、やっぱり雨だから狩りに行くのはやめるの?」


俺に気づいたユリが朝食を持ってやってきた。


「少し魔法の練習をしてて、今日は狩りには行かない予定だよ。この天気で怪我したら良くないからさ。大人しく冒険者ギルドで訓練してくるよ」


「へーケイって魔法も使えるんだね。そこで大人しく1日休んでたり、遊ぶって考えないのがケイのいいところだね。はい、今日の朝ごはんはいつものパンにキャベツとハムを挟んだサンドイッチだよ」


「体は動かしておきたいから、サンドイッチか美味しそうだ」


「なるほどね、ゆっくり食べてね!」


ユリは他のお客のもとへと向かっていった。

サンドイッチを10分ほどで食べ終えると冒険者ギルドに向かおうと女将のマリとユリに声をかけて扉に手をかけようとすると、マリさんが声をかけてきた。


「あれ、ケイってもしかしてコート持ってないのかい?」


この世界では転移者がかなり来てはいるがレインコートというのはなく、革のフード付きコートを着て雨を凌ぐらしい。


「まだ買ってなくて持ってないんですよ」


「そうなんだね、少し待ってね。

ユリ、うちには余ったコートがあったよね。

あれを持っておいで」


「はーい!今持ってくる!」


「えっあ、あの」


俺が断る前にユリが奥に行って1枚のコートを持ってきた。


大ガエルの皮のコート


「これどーぞ!」


「え、いや、流石に申し訳ないよ」


「気にせずもらっておくれ、これはいいものだけど主人が若い頃に使ってたもので、ずっと残っていたものなんだよ。あっても邪魔だしこのコートも使ってもらえるほうがいいはずだよ。お古だけど、綺麗にはしてあるからさ」


そう言われると確かにコートは必需品になってくるし断る理由もないのでコートを受け取った。


「分かりした。ご厚意に甘えたいと思います。

ありがとうございます、大切に使いますね」


「若いうちは周りの親切には甘えないとね。それでもケイがをお礼をしたいと考えてくれるならケイが大人になった時に困ってる若いやつを見つけたらなにかしてあげればいいさ」


(いや、マリさんいい人すぎでしょ)


俺はもう一度お礼を言いコートを着て冒険者ギルドへと向かった。


雨が降っているのが原因かいつもより人通りの少ない道を通って冒険者ギルドに入るといつもよりお食事処に人がいて、受付には人がいなかった。


ミリアさんの列にも人が3人ほどしかいなかったのでミリアさんの列に加わった。


俺の番が回ってくると笑顔のミリアさんが出迎えてくれた。


「ケイさんおはようございます!そのコート似合ってますね!それに装備も変えたんですか?」


「ありがとう、夕暮れの宿の女将からご厚意でもらったものなんだ。昨日市でいい装備を作る人を見つけてね」


「そうだったんですね。人との出会いは大切にしてくださいね。困ったときにその繋がりが解決の糸口になったりしますからね。今日も依頼を受けるのですか?」


(ミリアさんは若いのにすごい胸に刺さる事を言ってくるな)


「もちろん、人との繋がりは大切にしていくよ。今日は雨だから、訓練でもしようと思ったんだけど、トルーヤさんって体術もできたりする?」


「そうなさってください。あっそうなんですか、よかったです。雨の中だとどうしても足場が悪く怪我が多くなりますからね、狩りに出かけないならそれに越したことはありませんから。体術ですか?トルーヤさんなら問題ないですよ、講習を受けますか?」


「良かった。もちろんお願いするよ」


俺は懐から銅貨5枚を取り出しミリアさんに渡した。


「お預かりします。手順は前回と同じですのが、説明はいりますか?」


「いや、大丈夫だよ。じゃあ行ってくるね」


「はい、頑張ってください!」


ミリアさんから木札を受け取った俺は地下にある訓練場へと向かった。


ーーーーーーーーーーーーーーーー


マジックバック

銀貨10枚 大銅貨1枚 銅貨8枚

(10万1800円)


下級ポーション×1


中級ポーション×1


石剣 鉄剣

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る