第10話 幻の森

ギルドの外に出ると今日もガレスの街は色んな所から集まってくる商品を求め多くの人で賑わっていた。


「やっぱり市は色々と気になるけど神様からもらったお金がそろそろ底をつきそうだから、早い内にお金をしっかり稼げるようにならないとな。今日向かうのは(幻の森の浅いところ)だから西門から出ることになるからこの人混みを避けながら向かいますか」


幻の森とはケイが初めにいた森のことだ。

ここガレスの街の冒険者の殆どが西門を抜けた先にある幻の森と言われる森に行く。

幻の森では浅い方は弱い敵が多く、新人の冒険者までそれほどの怪我をすることなく素材を集めることができる。

しかし奥に入っていけば行くほど強い敵が多くなり、また貴重な素材を手に入りやすくなるため、新人たちは浅いところを、ベテランや強者は奥へと見事に活動する所が分かれるのだ。

この森が何故幻の森と呼ばれるのか

それは簡単に説明がつく、誰もその最奥には辿り着いたことがないからだ。誰一人としてこの森の全貌を確認したことがなく最奥がまるで幻のように分からないという所からいつしかこの森は幻の森と呼ばれるようになったのだ。

だからガレスの街の冒険者のほとんどがいくら強くなろうが他の街へは移動せず、皆この森へと未知なる発見を求め探索へと出かけるのだ。


ケイの今日の目的はゴブリンや一角うさぎ、薬草や毒消し草であるため、幻の森の奥に入る必要がなく浅いところですべてが達成できるのだ。


だからミリアさんは状態異常を消すポーションが必要ないと言ったのだ。


これがDクラス以上になってくるともう少し奥に入る必要があり、それに伴い状態異常の攻撃を仕掛けてくる魔物も増えていくため、そこからは状態異常を消すポーションは必要不可欠となってくるのだ。


俺は賑わう人混みの中を器用に避けながら30分程で西門へとたどり着いた。


ガレスの街では出るときには特に検査はないので、衛兵たちに労いの言葉をかけそのまま幻の森へと向かった。


その後また40分ほど時間をかけながら幻の森の浅いところにつくと、ガレスの街から5回鐘がなった。つまり今は12時だと言うことだ。


(そっか、もう12時かお昼ごはんを買ってくるのを忘れたな。今日はもうしょうがないから、明日から気をつけるようにしよう。大体午後の5時には暗くなってくるから今日はあくまで感覚的なものだけど4時くらいまでに終わらせられるように考えて行動をしよう)


とケイは森の浅いところへと入っていった。


幻の森に入ってから5分ほど経つと300m程先に生命探知スキルで反応があった。


「この反応は全長1m50くらいだからきっと

ゴブリンの可能性が高いな、反応が2つあるから2匹いるってことか」


俺は反応のあった方向へとなるべく音を立てないようにゆっくりと歩いていった。


200メートル程歩いていくと80m先の木々の間から暗い緑色の小さい異形の生物がいた。


ゴブリン Lv4


ゴブリン Lv3


ゴブリンを見た瞬間、鑑定スキルが発動したのか俺の右ななめ横にガラス状の板が出てきて

魔物の情報が書いてあった。


「Lv3と4かそれなら今の俺のステータスでも十分倒せるだろう」


俺はまず足元にあった拳大の石を手に持ち

ゴブリンの方に歩み寄って残り50mといったところでゴブリンめがけて思いっきり石を投げつけた。しかし石はゴブリンから外れ近くの木へとあたり大きな音を立てた。

それによってこちらに気づいたゴブリン2匹が俺めがけて走ってきた。

俺はすかさず2頭目を投げたするとLv3の方のゴブリンの頭に直撃してそのゴブリンは横たわり動かなくなった。


(よし!まず一体倒したぞ、だかまだもう一体いる、気を抜かずにいこう)


Lv4のゴブリンはこの時俺との間の距離を15mをきっており、手に持った棍棒を頭上にかかげながら


「グギャァァ!」


声をあげ俺の方に迫ってきた。


俺はその気迫に押され気味になるが


「しゃあ!かかってこい!」


自分を鼓舞しながら石盾を前に突き出し

盾に隠すように剣を持つといういつもの構えで

ゴブリンを迎え撃った。


ゴブリンは俺を殺そうと棍棒を俺めがけて

振り下ろした。


俺は冷静にそれを見ながらその攻撃を盾で滑らせるように盾の角度を変えながらゴブリンの攻撃をそらした。


それによりバランスを崩したゴブリンは前のめりになり俺に対して無防備に首をさらした。


その隙を逃すはずがなく俺は石の剣をその首筋に叩きつけた。


「グギャッ!」


ゴブリンは唸り声を上げ息絶えたのだった。


「よし、トルーヤさんに教えてもらったことがしっかりいきてるみたいだ。 

ゴブリンは確か素材になる部分がないから右耳だけ回収するんだったな」


俺はロイドからもらったナイフでゴブリンの右耳を切り取った。


ここで死体はどうするのかという問題が出てくるがミリアさんの話では放置でもいいらしい


この幻の森ではそれなりに肉食獣がいるので

放置しても腐ってアンデットになる前に掃除をしてくれるらしいのだ。


本来なら死体を焼いたり、埋めたりしないといけないらしいのだがそれをしなくていいのも幻の森が人気な理由の1つらしい


(ゴブリン相手ならもう少し多くてもいけそうだな、今度は2対1の状況で挑んでみるのもありかな)


俺は次の獲物を求めまた歩き出したのだった。


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マジックバック


銀貨2枚 銅貨2枚 (2万200円)

下級ポーション×2

中級ポーション×1


ゴブリンの右耳×2

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