第7話 解体の講習会
外から3回連続して鐘の音が聞こえる
つまり今は午前6時と言うわけか。
冒険者ギルドの約束の時間にはあと3時間程あるためのんびりとベットから起き脱いでいたベストなどを着て水魔法で小さい水球を出して
顔を洗い、残った水を窓から外に捨てた。
「しかしほんとに魔方って言うのは便利だよな。こういう時にわざわざ下の庭にある井戸まで行かなくていいっていうのはすごく助かる。
この部屋って3階だし、地味に登ったり降りたりするの大変なんだよな」
なんで日本育ちの魔法のない環境で生きてきた俺がこんな簡単に魔法が使えるのかっていうのは簡単なカラクリがある
それは魔力操作によるものだ。
まだLv1ではあるが初めからある程度の魔力を操ることができ血液と同じ道を流れている魔力を手のひらに集めることで基本的な魔法を発動することができるのだ。
「魔法関連のスキルはレベルを上げるのにかなりのスキルポイントを使うから魔力量増加はともかく魔法操作くらいは隙間時間に魔法を発動したまま維持したり動かしたりしたらLvが上がるかもしれないから上がったら儲けものぐらいな気持ちで練習しておこうかな」
と考えた所で閃いた。
水魔法とかを自由に動かせるようになったら
水球とか雷球を細かく、たくさん用意したら仮想の敵として剣術の練習にいいかも
それをするにしてもまずは魔力操作のLvをあげないとな
1時間くらい水球と雷玉と光球を出してそのままの状況を維持しようとしては失敗してを繰り返していると魔力が切れてしまい
「うわ、これが魔力切れか、2日酔のあとみたいだ。頭が痛いし、視界が揺れる」
そこから1時間ほど頭痛や目眩に苦しみながらベットの上でもがいていると
魔力が回復してきたのか頭痛が治ってきた。
そこで俺はベットの上で
「練習はするけど、二度と魔力切れを起こすまで練習はしないぞ」
と固く決意したのだった。
冒険者ギルドに行くまであと1時間といったところになってきたので俺は朝食を食べに食堂へと向かった。
階段を降りていくと、相変わらず元気な
ユリが俺に気づいたようで
「あっお客さーん!おはよう!
昨日はぐっすり眠れたー?」
「おかげさまでぐっすり眠れたよ。
それと俺の名前はケイだからお客さんじゃなくてケイって呼んで」
「そっか!お客さんはケイっていうのね、分かった!それじゃこれからケイって呼ぶね!私のこともユリって呼んでいいからね!
それと朝食を持ってくるから適当に空いてる席に座っててねー!」
と笑顔のまま厨房の奥へと入っていった。
俺が適当な席を見つけ座っていると
ユリが朝食を持ってきた
「今日の朝食はパンと目玉焼きと自家製のソーセージだよ!」
そう言ってユリは他のお客のもとへと向かった。
「朝食も美味そうだな、いただきます」
朝食を美味しく頂いたあと女将に朝の挨拶を済まして、俺は冒険者ギルドへと向かった。
冒険者ギルドに入って受付に向かうと
ミリアさんの列は人気なのか列が凄かったので
一瞬別の受付嬢の所に向かおうとも思ったが
宿を紹介されたお礼がしたかったので
大人しく並ぶことにした
15分くらいならんでいると俺の番が回ってきた。
「おはよう、ミリアさん。
ミリアさんってすごい人気なんだね
ここだけすごい列だからすごいびっくりしたよ」
「おはようございます、ケイさん
そんなことないですよ。偶然ですよ、偶然。
今日は解体の講習ですよね?こちらですでに受付は済ませてるので直接受付脇にある通路から解体場に向かってくださって大丈夫ですよ」
いや、絶対ミリアさんが美人だから
皆ミリアさんの所に並んでるんだろと
そう思いながら
「あっこのまま直接向かって良かったのか。解体の講習の件もそうだったんだけど、昨日ミリアさんに紹介してもらった宿すごい良かったからお礼を言いに来たんだよ」
「そうだったんですね。私もたまにご飯を食べにあの宿に行くのでおすすめしたんですが気に入ってもらえて良かったです!」
とミリアさんが笑顔になった。
なんて美人、異世界って恐ろしいな
「ありがとうございました。それじゃ解体の講習に行ってくるよ」
「はい、頑張ってください!」
その声を聞きながら俺は受付の脇にある通路を抜けだだっ広い倉庫のような所に来た。
すると奥の方から髭をはやし冒険者かと見間違うほどの筋肉をつけた作業服を着た男性が歩いてきた。
「お前が、今回の講習を受けたケイってやつか?俺はこの解体場の責任者をやってるロイドってもんだ、今日はよろしくな!」
「はい、Gランク冒険者のケイって言います。
初心者で手間をかけると思いますがよろしくお願いします!」
「そりゃ初心者なら仕方のねーことだし、だから講習会があるってもんだよ、だからあまり緊張せず得るものしっかり得てから帰れよ?
それと俺に対して敬語はいらないからな」
この世界ってわりと優しい人が多めだよな
この人もかっこよさが滲み出てるし俺ももう少し歳を取ったらこのダンディーさがでてくるのかな?と変なことを思いながら
「分かったよ。なら気軽にいかせてもらうよ」
「そっちの方がこっちもやりやすいからな」
そこから2時間ほど解体の基本である内臓の処理や各部位の保存方法、ナイフの入れ方などを徹底的に教えてもらい、ついでに昨日狩った一角うさぎを自分一人で解体し終わったところでロイドからOKが出た。
「まー基本はこんなもんだろ、詳しくやるならもっとやることはあるんだが、今日教えた事で大体の解体はできるから、あとは実践あるだけだな」
「今日はありがとう、とても為になったよ」
「こっちも物分りのいいやつに教えるのは楽しかったよ。そういや、ケイは解体用のナイフ持ってなかったろ?」
ロイドは一本のナイフを俺に渡してきた。
「これ俺のお古なんだがしっかりメンテナンスはしてるから
問題なく切れるはずだ。俺はもう使わないからケイにやるよ。」
「えっいいのか?ありがとう、解体するのにナイフを買おうか迷ってたところだったんだよ」
「まー気にすんな、他に解体のことで分からないことがあったら来いよ、教えてやるからさ」
俺はロイドにもう一度感謝の言葉を伝え解体場を後にした。
受付に戻ってくるとそれに気づいたミリアが
「あっケイさん、おかえりなさい
解体はどうでしたか?」
「とても為になったよ。学ぶべきことがたくさんあったから、あとはそれを馴染ませるために実践あるのみって感じかな」
「有意義な時間だったんですね。
この後ってどうするんですか?」
「この後は地下の訓練場に向かうつもりだよ。
でもその前に一角うさぎの買取をお願いをしてもいい?」
そう言って俺はマジックボックスから一角うさぎを出そうとして机の上に手をかざしたとき
ミリアさんが顔を近づけてきて小声で
「ケイさん待ってください、もしかして時空魔法な何かで取り出そうとしてますか?もしそうならケイさん自身が狙われる可能性があるので
解体場にいって出してください」
そう言われ俺は黙ってミリアさんの後に続いて解体場に戻っていくのだった。
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