第34話 門番
入り口には、門番がいた。
大きな場所ともなると、警備をする範囲は城の近くだけではなかった。
「何をしに来た?」
「あらゆる場所を旅していまして、その道中にこちらの王国にたどり着きました。」
「ということは、お前たちは旅人なのか?」
「はい。それが、何か関係しているのですか?」
「今すぐ帰ってくれ。お前たちは、必要のない人間だ。」
凄い剣幕で罵られる。
初めて会った人達に対して、失礼な態度だと感じた。
「理由を教えていただけませんか? 必要のない人間だと言われても、今のままでは納得することは出来ません。」
「ここには元から住んでいた者や、医者のように人の助けになる者、武器や道具など必要なものを提供することが出来る者しか、入ってはならない。」
カイル達に、嫌々話をする門番。
話が本当であるのなら、旅人は居ないのか気になった。
「では、私たちのような者はいらっしゃらないのですか? それですと、王国として成り立たないと思いますが!」
ミーナが強い口調で話す。さすが王女といった姿だ。
迫力に負けたのか、門番が渋々口を開く。
「確かに、その他の者もいる。そいつらはある方法を使って、王国に入った。上手くいかなかった奴らもいるがな!」
方法によっては、王国に入れるということが分かったが、上手くいかなかった奴らもいるというのが気になった。
「どうしたら良いのでしょうか? 僕達で出来ることでしょうか?」
門番の言葉を理解することが出来なくて、カイルが質問を繰り返す。
「この王国には、闘技場のような施設がある。そこで、1対1の対決をしてもらう。もちろん体格の差が生じるから、選ばれた代表者と同じくらいの人物を用意する。そこで、勝負に勝つことが出来れば王国に出入りすることが許されるであろう。」
闘技場に対決と物騒な言葉が続く。
「それがこの王国の方針であるのならば、従うしかありませんね。」
「誰が出るのが良いかな?」
「俺が戦う……こんなことで、ミーナを怪我させるわけにはいけない。そして、王国の状況を知るためにはカイルの力が必要だ。だから、俺が戦う。それで良いな?」
「……分かったよタイロン。全力で応援するよ!」
カイルとミーナは戸惑った。
だが、タイロンの判断を聞いて少しの間考えた後、返事をした。
タイロンは、冷静に物事を判断しているようだ。
「決まった。出るのは俺だ、宜しく頼む。」
「案内する。ついてこい。」
短いやり取りをした後、カイル達は門番に連れられて城下町にやって来た。
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