第28話 作業を終えて

 お礼を伝えた漁師達。



「そろそろ行くか?」



「そうですね……先に進みましょう!」



「今の皆さんなら、大丈夫です……頑張りましょう!」



 カイル達は挨拶をすると、漁師と別れた。


 クロス町まで、帰ってきた。


 ミーナが話をしていたこともあって、残っている町の人もいた。



「あなたは、先ほど演説をされていた方ですよね?」



「はい、そうですが……お話しを聞いていただいて、ありがとうございます! 皆さんの受け入れてくださった姿勢は、漁師の方々にとって、心強いものだったと思います。」



 町の人は話を終えると、戻っていった。


 カイル達も、タイロンが手伝った道に向けて歩く。


 少し歩くと、作業をした形跡があった。


 これなら、向こうから来た人も通ることが出来そうだ。


 タイロンは作業を手伝って良かったと、改めて思った。



 道を通って、次の場所を目指す。





 その後の漁師達。


 メレンポッドに行って、クックと話し合う。



「あの……クックさんという人を探しているのですが?」



「私がクックですが……あなた方は?」



「クロス村で、カイルさん達に助けてもらった者です。漁師をしているのですが、なかなか上手くいかなくて……話をすると、クックさんが力になってくれるかもしれないということだったので、会いに来ました!」



「そうでしたか……カイルさんの頼みなら、断るわけにはいきませんね……ですが、条件があります。私は、料理人です……魚の鮮度などが良くなければ、仕入れをお断りさせて頂くこともあるかもしれません……それでも、宜しいですか?」



「もちろんです。ありがとうございます!」



 話し合いが終わったようだ。


 クックの計らいで、チャンスをもらった漁師達であった。





 ここで、話を少し巻き戻す。


 カイルとタイロンが、剣を届けた後のことだ。



 カイルが暮らしていた村。


 ダグラスがイカチ村の村長と話をしている。



「今日は、わざわざ来てもらってすまんかったの……」



「それは、別に構わんが……何かあったのか?」



「これじゃよ!」



 ダグラスが新聞を取り出す。


 そして、ある記事を見せた。



「ほぉ! 名前は伏せられておるようじゃが、カイルとタイロンが無事に剣を返せたようじゃな!」



 イカチ村の村長は、嬉しそうに話す。


 だが、ダグラスの表情は曇っている。



「どうした? 浮かない顔をしておるようじゃが……」



「カイルが話したのか、アルメスク王国のバトラ王から手紙を貰ってな……あらゆる場所を巡って、他の国の状況や、問題を見つける任務を出したそうじゃ!」



 イカチ村の村長も驚いている様子だ。


 今までの生活を振り返ると、心配な気持ちになるのは当然だ。



 無事を知って嬉しく思う反面、新たに不安な気持ちを抱いたダグラスとイカチ村の村長であった。

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