第27話 作業時間

 タイロンサイド

 タイロンは、道路の整備をすることになった。

 クロス町に戻って、他の村に続く道に進む。

 漁師達と話をしている。


「もう少しで着きます。」


「俺は実際に見たわけではないから、何が出来るか分からないが……」


 少し歩くと、見えてきた。

 大きな木が何本も横たわっており、道を塞いでいるようだ。


「ここです……」


「何だこれは? そんなことに、力を使うなよ……だが、見たところ道が壊されていないようで良かった……これなら、木を動かせば元の状態に戻せるだろう!」


 タイロンの言葉を聞いて、ほっとした表情を見せる。


「作業についてだが、俺が斧で適当な長さにするから、漁師の皆はそれを運んでくれるか?」


「それは、ありがたい……でも、どこに運ぶんだい?」


「そうだな……俺達が漁師の皆と初めて会った、あの場所が良いだろう……」


 流れを確認すると、早速取りかかる。

 タイロンは、自分の斧を使って作業をする。

 丁寧で、慣れた様子だ。

 作業をあっという間に終えると、運ぶ作業を手伝う。


「よし、後は運ぶだけだ……俺も手伝う……」


 タイロンは話すと、漁師達と木を運ぶ。

 クロス町を経由して、初めて会った場所に着いた。

 先に運ばれていた、木が積まれていた。


「これで、終わりだな……」


「ありがとう! 君のお陰で、再び道が通れるようになった!」


「止めてくれ……大したことはしていない……だが、良かったな!」


 タイロンの手伝いもあって、作業を終えることが出来た。




  カイルサイド

 カイルは、漁師達と船の修理を手伝う。

 漁師達は、自分の船に近づいていった。

 木材を持ってきて、早速作業に取りかかる者もいた。


「あの……僕は、何をすれば良いでしょうか?」


 近くにいた漁師に、尋ねる。


「そうだな……木材を船の近くまで運んでくれるか? そして、船の掃除もしてくれると、ありがたい!」


「分かりました! 掃除までやります!」


 漁師達は、木材を打ちつける。

 ただ、船大工ではないため、綺麗な仕上がりとはいかなかった。

 それでも、表情は晴れやかだ。

 あくまで、応急処置といった所だ。

 カイルも掃き掃除や、拭き掃除などを行う。

 最初に見た時と比べて、随分と綺麗になった。


「良い感じですね!」


「でも、まだまだだな……落ち着いたら、今度は船大工に頼まないとな!」


 次の事を考えられるようになったようだ。

 その表情を見て、カイルも安心した。


 一通りの作業が終わったようだ。

 タイロンとミーナも戻ってきた。


「船も綺麗になりましたね! 町の人達への説明も終わりましたよ!」


「俺も終わったぞ……また、道が通れるようになった……」


 カイルは、2人に手伝ってくれたお礼を言う。

 すると、漁師がカイル達に近づいて話をする。


「本当にありがとう! 君たちには感謝しかない……これから、皆でで頑張ります!」


 今度は謝るのではなく、感謝の気持ちを伝えた漁師達であった。

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