第26話 3つのするべきこと

 頭を下げた漁師達の姿を見て、カイルは言葉をかける。


「僕達に対して、そこまで謝らないでください……皆さんの気持ちは伝わりましたから!」


 そう言うと、タイロンとミーナが近づく。

 役割分担を決めるようだ。


「これからするべきことは、3つだね。」


 1つ目は、町の人達に対して、状況を説明して謝罪をする。

 2つ目は、道の工事を手伝い、通行が出来る状態にする。

 3つ目は、船の修理を手伝い、再び漁が出来るようにする。


 2つ目と、3つ目は、出来ることは限られている。

 専門の人達に難しい作業は任せて、あくまで手伝うことが目的だ。

 問題は、どこの場所を誰が担当するかだ。


「私が、町の人達に話をしましょう! 力仕事は足手まといになりそうですし……」


 ミーナが町の人達に、状況を説明することになった。


「じゃあ、俺は工事の手伝いをしよう!」


 タイロンが道路工事を選ぶ。


「僕が残った船の修理だね!」


 カイルは、船の修理になった。


 役割が決まった。

 漁師達も3つのグループに分けられた。

 作業が終わったら、この場所に集まることが決まった。

 これから作業の開始だ!




 ミーナサイド

 ミーナは、何人かの漁師と共にクロス町に戻ってきた。

 一軒ずつ回るのも大変なので、町の放送で呼び掛けることにした。


「クロス町の皆さん、初めましてミーナと申します。皆さんにお伝えしたいことがあります。今から、町の中心にお集まり頂けませんか? 突然のことで、申し訳ありません……宜しくお願いします!」


 後は、来てくれるのを信じるだけだ。

 ミーナ達も、町の中心に行ってみる。

 町のほとんどの人が集まっていた。


「皆さん、お集まりいただいてありがとうございます! 今日は、こちらの方達からお話しがあるようです。」


 ミーナは漁師達を呼ぶ。

 町の人達の前に並ぶと、謝罪をする。


「この度は、俺達の行動で迷惑をかけてしまい、ごめんなさい! 他の村に続く道も今、他の漁師達が工事をしています。これからの、俺達の行動を見て頂ければと思います。」


 謝罪と決意を告げた。

 とはいえ、突然のことで町の人達も困っている様子だ。


「皆さんにお願いがあります。漁師の皆さんが迷惑をかけたというのは、事実です。けれども、もう一度チャンスをあげてくれませんか? 彼らは、変わろうとしています!」


 町の人達が、話を聞く姿勢になった。

 そして、町の人達は拍手で応える。

 少しは受け入れてくれたようだ。


 ミーナの言葉で、場の雰囲気が変わった。


「ありがとうございます! 頑張ります!」


 漁師達は、一斉に頭を下げる。

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