アイシアとアレックス1
「そういえばさあ。アイシア」
本泥棒の件が解決し、一度泊まっている宿屋に戻り落ち着きを取り戻したころ、キイが思いっきりアイシアに尋ねてみようと話しかける。
「なに?」
「あのさあ。その」
「なによ。はっきりいいなさいよ」
「だから」
しかしうまく言葉が出ない。
キイが尋ねたいのはアレックスとの関係だ。いったいどういう関係なのか気になって仕方がなかったのだがなかなか聞けずにいたのだ。だから意を決して聞いてみようとするのだが、言葉が続かない。
「アレックスとは付き合ってたの?」
キイが手をこまねいていると、突然ムメイジンが軽い口調で訪ねてくるではないか。キイもアイシアも一瞬何を言われたのかわからずにキョトンとする。
「だから彼氏かなにかで過去に振ったか振られたのかしたのかなぁと思ってさ」
「ムメイジン、単刀直入すぎですよ!」
シヨセイが思わず叫ぶ。
その隣でオロオロするペルセレム。
リデルが嬉しそうに天井を飛び回っている。
「だってみんなも気になってたじゃん。だから、俺が聞いたの。いたた」
キイはムメイジンの耳を引っ張ると耳元で怒鳴った。
「それは俺が今聞こうとしたんだよ。先こすなよ」
「何バカいってんの?」
そんな彼らの会話を聞いていたアイシアは呆れ返ったようにため息をつく。
「付き合ってなければ彼氏でもないわよ。だって、私とアレックスは血のつながった兄妹だもん」
四人と一匹は一瞬目が点になる。
「ええええええ!」
そして驚愕する。
「本当よ。そんなに似てないけど年の離れた兄よ」
「でも似てませんよね」
「全く似てないですう」
「昔から似てないとはいわれてたわね。わたしは母似で兄は父似だから」
ムメイジンが突然キイの肩に手をやる。
「よかったな。キイ」
「なにがだよ!」
「そんなのわかってるじゃん」
「わからねえよ。ぼけ」
キイはムメイ人の手を振りほどくと扉のほうへと歩き出す。
「キイ。どこいくの?」
「買い出しに行ってくる」
「えっ? 買い出しならまだ充分だと、思うんだけど」
キイはショセイの言葉など無視して部屋を出ていってしまった。
突然の行動に怪訝な顔をするアイシアたちだが、ムメイジンだけが楽しそうにニヤニヤしていた。
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