ドラゴンを連れた鍵師と読書家は本を探しに行く4

 ヒストリアによる必死の懇願でアイシアもとうとう本探しの依頼を承諾することになった。


 依頼を受けるに当たり、本人からの申し出とは言えどもギルドには一度赴いてその旨をつたえなければならないのだ。正直面倒であるが後々トラブルに巻き込まれるようなことにはなりたくない。


 そういうわけでキイたちはギルドへ向かうことにした。


「なんだ? 人が集まっているぞ」


 ギルドへ入ると相変わらず人で混雑している。そのなかでいつになく人が集まっている場所があった。掲示板だ。依頼内容の貼られている掲示板ではなくて、普通の店の広告やイベントごとを貼る掲示板に人が溢れていたのだ。



「ボク見てくるよ」


 そういって、ドラゴンのリデルがキイの肩から飛ぶたがると人だかりの向こう側を見る。


「どれどれ、ふむふむ、そういうことか」


 リデルはそのまま戻ってきた。


「なにが書いてあったんだ?」


 キイが尋ねる。


「ランキングだよ」


「ランキング?」


 ムメイジンは怪訝な顔をする。


「知らねえの?」


 キイが尋ねるとムメイジンが頭を横にふる。


「ランキングは冒険者パーティのどのくらいのレベルかをランキング方式で表示するんですよ。上位の人はかなりの額の賞金と権限をあたえられるらしいですよ」


 シヨセイが説明した。


「権限って?」


「いろいろですよ。簡単に言えば可能な範囲で願いを叶えてくれるんですよ。それを目指して冒険者になる人もいます」


「じゃあ、元の世界に帰りたいといえば帰してくれるのか?」


「それは難しいかもしれませんよ。空間魔法が使えるといわれる青の民のなかでもごく一部の人間しかできないとかいう話ですから」


「青の民?」


「はいはい。話はここまで。ランキングなんて見ても仕方ないでしょ。私達には関係ないことだし、さっさと依頼をとりにいくわよ」


 アイシアはそこで話を切ると受付のほうへと歩き出した。


「おいおい、なんだかんだいって張り切っているじゃん」


 キイがいう。


「当たり前よ。引き受けたんだから中途半端にしないわ」


「うーん。関係ないとはいえ、どんなやつが上位にいるか気にならねえの?」


「べつに。どうせいつも通りでしょ。上位はあのパーティに決まっているわ」


 その言葉にキイは確かにと頷けた。


「どういうこと?」


「現在のダントツ1位はアンラッキーセブンですから」


 ムメイジンの質問にショセイが応える。


「アンラッキー……?」


「シャルマン国唯一ランクSSのパーティです」


「にしては、ネーミングが……」


「ほらほら、あんたたち早くいくわよ」


 受付に行っていたはずのアイシアが戻ってきた。


「はやっ!」


「ちょうど受付が空いていたから、すぐに受け取れたわ。さて、早く本を探しに行きましょ」

 

 そういって慌ただしくギルドをあとにした。

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