ドラゴンの連れた鍵師と仲間たちは大会への参加を決める1
「来たれ! 冒険者たちよ! 諸君は新たにスタートを切るのにゃ!」
「勧誘かよ! つうか最後のにゃーってなんだ? 猫か?」
大会があるという話を聞いたキイたちはどんな内容かを知るためにギルドを訪れた。するとあまり集まることのない掲示板にどーんと大きくポスターが張り出されていたのだ。そこにかかれていたものが大会を意味するものというよりも冒険者への勧誘のような見出しに思えてならずムメイジンが思わずツッコミを入れてしまったのだ。
「いつものことだけどな」
キイがため息交じりに言う。
「そうそう。だれが考えているのか知らないけど、なぜか語尾はニャーなのよね」
「ただ言えるのはセンスないってことだよなあ」
バコーン
そのとき当然キイの後頭部に激しい痛みが走ると同時に体のバランスを崩して前へと転倒してしまった。
「だれがセンスないにゃ! センスの賜物にゃ!」
「いてえ! なにすんだよ!」
痛む後頭部を抑えながら振り返るとそこには仁王だしした猫の姿があった。
「げっ、猫じゃん! 猫が喋ってる!」
「猫ではないにゃ! ねこ族でもっとも優秀なアレキサンドロスにゃん! 恐れ入ったかああ! ニャニャニャニャ」
猫いや猫族のアレキサンドロスは豪快に笑いながら背中を反る。そらしすぎてそのまま後方へと倒れ込んでしまった。
それからしばらく起きられない様子でドタバタしている。
起き上がったキイは猫のジタバタする光景に起こる気すら失いしばらく見ていた。
「なにをみてるにゃ! 吾輩は見せもんじゃないにゃ! 起こすにゃ! 鍵師」
「ものすごくバカっぽい猫だな」
ムメイジンがそうつぶやくと先程まで床でジタバタしていたアレキサンドロスの姿が消える。
「うわ!」
気がついたときにはムメイジンの顔を爪で傷つけていたのだ。
「いてええ! なにするんだよ」
「お前がばかにするからにゃ! 異世界人!」
「はあ!? ってなんで俺が異世界人って知ってんだよ」
「そりゃあそうにゃん! 吾輩に知らぬものはニャイ!」
「なにやってるんですか! アレキサンドロス新所長!」
すると受付からひとりの女性が姿を表すなり、アレキサンドロスの首を持ち上げたり
「うわうわ! なにするにゃん! 下ろすニャン!」
「下ろしません! 仕事が山程あるんですから! こんなところで冒険者にケンカ売ってる場合ではありません!どうもすみません。うちの新所長がご迷惑おかけしました」
女性はキイたちに頭を下げるとアレキサンドロスを引き連れて受付の中へと入っていった。
その様子を呆然と見ていたキイたちは揃って「あれが所長? このギルド大丈夫か」と心配の声を漏らしたのであった。
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