ドラゴンを連れた鍵師は鳥使いと再会する1

「史上最弱」と名付けられたパーティーは困り果てていた。


 なぜ困り果てているかというと……



「飯~」


 そう「史上最弱」という名前を名付けられたせいでなかなか仕事にありつけず、貧乏生活を過ごしていたからだ。


 魔法使いを入れたことでほんの少しはパーティーレベルはあがったものの、微々たるもの。ゆえに高い報酬にたりつけるような仕事を得ることもできず、常にギリギリの生活を余儀なくされている。


しかも最近は小さな仕事さえもないときている。


何日も仕事にありつけなかったキイたちの財産はついに尽きてしまったのだ。


「飯~。お腹すいた~」


「ジン。うるさい! 黙ってろ」


 キイはほとんど金の入っていない財布とにらみつけているところでそのとなりで床にゴロゴロしながらムメイジンがそう訴えてくるものだから、思わず怒鳴り付けた。


「だってえ。腹へって死にそうだもーん。おにぎり~寿司~明太子もいいなあ」


「だから、金がないんだよ」


 そういいながら、キイは何度も財布を確認する。


「キイ。いくら、財布の中身みても変わらないわよ。そんなことしてないで、なにか対策考えなさいよ」


「うるさいよ。アイシアもなにか案があるよか?」


 キイの視線はアイシアのほうへと向けられた。


 アイシアは思わず視線を反らしてショセイに助けを求める。今度はショセイがとなりにいる魔法使いのペルセレムをみた。



「わっわたしですか!? ふえええ~、わかりませ~ん」


 ペルセレムが大袈裟にあわてふためくと、アイシアたちは顔を歪める。


「焼き鳥~」


「鳥?」


 ムメイジンがさっきからつぶやく言葉のなかでキイは「鳥」という言葉に反応した。



「そうだ!」


 財布の口を閉じると立ち上がる。


「どうしたの?」


「よし! これから狩りにいこう!」


「「狩り?」」


 アイシアたちが怪訝な顔をする。


「買えないなら狩るまでさ。たしか、ナムル

 の森でいまダッサトリがきているはずだぜ」


「「ダッサトリ!?」」


 アイシア、ショセイ、ペルセレムの三人が異口同音する。


「はい? なんだ? それ?」


 ムメイジンだけが意味がわからずにきょとんとする。


「ジンは知らないんだね。凄くダッサトリの肉がものすごくおいしいんだよ。ちょうど、ナムルの森にやってくる時期なんだね」


 そういいながら、ショセイは本のページを捲る。


「うまいのか!? まじで?」


 起き上がったムメイジンはよだれを垂らしながら目を輝かせた。


「本当よ」



「それって鳥なのか?」


「そうよ。鳥よ」


「よし!!」


 ムメイジンが立ち上がる。


「それ取って焼き鳥にするぞおおおお!」


 そう大声で叫んだ。


「よしっ! そうと決まればさっそくナムルの森に出発だ」


 キイも張り切ってさけぶ。


 それには他のメンバーも同意見であったためにだれも反対することなかった。


 そして、ある程度の装備を整えたキイたちは焼き鳥の材料を求めて、シャルマン国首都ステラからさほど離れていないナムルの森へ向かうことになったのである。



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