第12話
綾乃は,次の日は,学校に来ていたが,授業中,頭を机の上に乗せて,ずっと寝て過ごしていた。
廊下で声をかけても,反応は鈍かった。意識が朦朧としている感じがした。
「綾乃,また打った?」
綾乃は,小さく頷いた。
「でも,しんどいよね?」
綾乃がまた頷いた。話すことも難しいようだった。
「保健室で少し休んで来たら?」
「…うーん,大丈夫。」
綾乃は,囁くような小さな声で言って,歩き去った。
放課後,また綾乃に会った。
「どう?楽になった?」
綾乃は,小さく笑顔を作って頷いた。
「でも…もう,やめる。本当の人間にはなれなくても,このまま陸で暮らしていけるし。母だって,十年以上やったことだから。」
「それがいいと思う!体を大事にして!」
綾乃は,頷いて,「またね。」と言ってから,別れた。
しかし,次の日,綾乃は,学校に来ていなかった。その次の日も。
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