第24話 第二次防衛戦
「これが第二次防衛戦か」
と呟いたが、そもそもルークス自身が赴任する前にも軍事衝突はあったはずなので第二次防衛戦という呼称は本来は適切ではない。
「と言っても他にいい呼び方も思いつかないから第二次防衛戦でいいや……それにしても規模以外はまんま前回の再現だな」
ゴルゴダルダ国では騎兵の突撃こそが最良の戦法であり、最強の戦術として考えられている。
「いや、考えているというよりは盲信している。という表現の方が適切かな」
というか確か前回も同じ感想を抱いたな。
「確かに、そう言われればそう感じますな。ルークス殿」
「シドル将軍も同じ意見で?」
「ルークス殿の発言を聞いて同じ意見になった。というべきでしょうな。今まではあまり考えてなかったことなので」
「なるほど」
「しかし、これが前回の再現ですか……」
「……?、何か気になることでも?」
「いや、本当にただ突撃を繰り返し行うだけで他に何もしないとは……」
「できなかったのか、しなかったのか。あるいは両方か。一応奇襲と背後からの強襲は相当警戒しましたが……伏兵は見つかりませんでしたね」
「……地形から考えて背後からの奇襲は難しいでしょう。というかそれを考えてクレートの町近くに布陣したのでしょう?」
「……それはそうだが、さすがに前回と同じルートを通ると最初は思えなかったからな」
「兵数は増えたが前回と同じルート同じ戦法で同じ負け方……確かにそんな予想は普通しませんな」
「……まぁ、大軍になればなるほど他のルートは難しい。大軍が通れるほどの広さがある道が無いからな。他の領土からはわからないが、もう一度ローラント地方に侵攻してくると思うか?」
「決めつけは危険ですが、しばらくはないかと。少なくとも今回と同じ兵数なら攻めて来ないでしょう。しかし、大軍を徴兵して侵攻した結果何人かは敗走したのです。となれば前回と今回の敗戦はゴルゴダルダ国の内部はともかく国境近くでは噂になっているでしょう。2度の敗戦の報を聞けば徴兵も難しくなるでしょう。後は単純に徴兵可能な人数も2度の敗戦で失っている」
「なるほど」
「ただ近くでは徴兵が難しいだけであって、ゴルゴダルダ国の中央から出兵されてくるとなれば話は変わります。ただ、その場合はこのローラントの領地ではなく別の領地からくる可能性の方が高そうですが」
「さすがにゴルゴダルダ国中央からの出兵なら事前に情報がつかめると思う。一応密偵は放って確かめるが……」
「ただその可能性も高くはないでしょう。大軍の移動距離をわざわざ増やすようなものですから」
大軍が移動するのに欠かせないものが食糧だ。数日だけでも移動距離が増えればその分の負担は増える。それにこれは人間の食糧だけではない、騎兵中心のゴルゴダルダ軍は馬の食糧や水も確保する必要がある。そこに武器や防具、衣類まで追加されるのだ。簡単ではない。
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