第23話
「ルークス様大変です!」
「なんだ?タージク」
さすがに領主兼総司令の身分で自分の部下がいないのもまずいのでつい最近部下になったタージクが話しかけてきた。書類上は部下なのだがほとんど年齢が変わらないのもあって距離感は友人に近い。
「ゴルコダルダ軍が第二次ローラント地方遠征軍の徴兵をはじめました!」
「そうか……」
「そうかって、落ち着いてる場合ですか!」
「お前は少し落ち着け、今度は何人でどこから攻撃するのかわかるか?」
「人数は前回の倍ですけど、侵攻ルートは前回と同じようです」
「は?」
「ハシュマリム将軍が中心に徴兵しているようでしたので、密偵を放って調べたところ。どうも力押ししかできない将軍のようで」
「待て、ハシュマリム将軍とはどんな人物だ?」
「以前、ゴルコダルダ国王が狩をしている時に虎に襲われたことがあったようで。その時にゴルコダルダ国王を襲った虎を斬りつけたのがハシュマリム将軍です。厳密にはその時の功績で将軍になった人物と」
「……その話だけでは猪突猛進なのか、策略家なのか判断できないな……。自身で虎を斬りつけたとなると剣の腕は相等な者だと予測はつくが」
おそらく前回の倍の人数を徴兵しようとしたから、徴兵段階で事がこちらに露見したのだろうが。当然人数が多くなればなるほど秘密にするのが難しい。ましてや前回の倍の人数となれば時間もかかる。
「……とりあえず
虎を剣で倒したか……少なくとも自信家ではありそうだな。後、前回の倍の人数を徴兵しているところを見るとタージクの発言通り力押しをしてくるタイプか?
「……そういえば騎兵は突撃こそが最高の戦法だと盲信している国だったな。……とはいえ決めつけは危険だな。ギリギリまで策略の可能性は捨てないでおこう」
しかし、力押しの可能性が最も高いのも事実である。クレートの街周辺に柵と溝……できれば塹壕に近いものを作ろう。
「一応その可能性もあるかな?とは思っていたが、まさか本当にそうなるとは……」
「ルークス殿、これが前回と全く同じ結果ですか?」
「シドル将軍、ほぼ同じですね。騎兵の突撃のみを繰り返し
「6万のゴルゴダルダ軍と1万の我が軍ですから、確かに規模は2倍になってますが……」
「それ以外が前回と同じですからね。一応奇襲を警戒して相当偵察部隊を出しましたが……」
「伏兵はいなかった……」
「無事に防衛は成功したのですから、その点は喜んでますよ」
しかし、これではまるで学習能力がない者を相手にしているようだ。
「……いや、違うな。学習したのは前回の犠牲者か、今回徴兵を拒否した者か」
「……ゴルゴダルダ軍の徴兵に対して平民が拒否できるかはわかりませんが……今回は特に前回の2倍の徴兵だったわけですから」
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