第22話

 オルファネスのレストランで提供するメニューは今現在


 鶏の唐揚げ

 オムレツ

 パン(ナンに近いやつ)

 パン(ケーキに近いやつ)

 ワイン

 ビール


 うーん、まとめて見ると片寄ってるな。まぁメニューは少しずつ増やして行けばいいだろう。ドリンクがアルコールしかないのはまずいな。葡萄ジュース、オレンジジュースぐらいは追加しよう。そしてここでも真水はオレンジジュースよりもワインよりも高価だった。後パンが2種類なのは紛らわしいな。


「ルークス様そろそろお時間では?」


「おう、そんな時間か」


 さすがに領主兼総司令官が長い間領地を留守にするわけにはいかない。ローラント地方に戻るとしよう。


「そんなわけで戻ってきたわけだが」


 自宅というか総司令の館に到着して呟いた。


「オルファネスに2泊3日の視察はいかがでした?」


 いつの間にか近くにいたグレバトスが聞いてきた。


「まぁ順調かな?まだ準備段階だからなんとも言えないが」


「トラブルがなかったなら順調でしょう。帰宅したばかりでお疲れでしょうから今日明日はゆっくりなさっては?」


 さすがに旅先から帰ったばかりで疲労しているので休むことにした。


「せっかく養鶏場を買ったのだからもう少し卵料理をメニューに加えてもよかったかな?いや、しかし味覚は人それぞれだし地域にもよるからな」


 松茸が日本では高価だが諸外国では不人気だからな。まぁ日本でも現在は希少価値で高いだけで戦前は最も安いキノコだったはず。


「それはともかくレストランのメニューに卵焼きと目玉焼きとスクランブルエッグぐらいは加えるべきだったかな?」


 今度はプリンも作ろう。ただカラメルをどうするかな。砂糖がかなり高価だからカラメルを作ると値段がはねあがる。基本的にはカラメルなしのプリンを提供して、カラメルありは貴族御用達にでもするか。別に前世で料理人だったわけではないので砂糖を使わないカラメルの作り方は知らないし。しばらくしたらじゃがいもの料理も提供しよう。まだ孤児院の畑と防衛戦の時に買った土地で少量生産しかしてないからな。開墾と農地買収を進めているから来年にはかなり生産できるとは思うが。


「ん?そういえば松茸と言えば近くに松林があったな。今度松茸があるかないか確認してみるか」


 松茸を育てた経験はないが知識だけは知っている。松茸は栄養が豊富な土壌では育たない。これは栄養が豊富だと他の植物との生存競争に負けるためだ。そのため松茸は痩せた土地に育ちやすい。かといって栄養がまったくないのもそれはそれで育たない。


「松茸を育てると言っても経験がない人間ができることはたかがしれてる。精々落ち葉を掃除して肥料になるのを阻止するくらいだけで」


 次の日孤児院を訪れた。


「あ、ルークスお兄ちゃんだ」

「えっ、本当だ」


「リーゼ院長はいる?」


「うん、いるよ。呼んでくるね」


 女の子に手を引かれながらリーゼ院長が出てきた。


「ルークス様何かあったのですか?」


「いやまぁ、たいしたことはないんだ。子ども達の様子と畑の様子を見に来ただけで」


 とりあえず子ども達は元気そうでよかった。で、子ども達と一緒に畑の様子見ると


「じゃがいもはそろそろ収穫できそうだな」


「えっ?本当?」


「じゃあ、ルークスお兄ちゃん早速収穫しよう」


 今日は様子を見るだけにしようと思っていたが、子ども達がすっかりその気になってしまった。まぁやる気があるのはいいことだ。


 小さい子ども用のスコップで周りから慎重に掘る。気を付けないとじゃがいもにスコップが突き刺さるからだ。まぁ売り物じゃないし、自分たちで食べるだけだからそこまで神経質にならなくてもいいけどね。ただある程度は保存しておきたいからね。


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