第59記:蛇頭怪人
約束の日。用事を済ませた俺は、池袋から江戸川橋方面へ向かって歩き始めた。その日は、雨が降ったり止んだりの不安定な天気であった。それに合わせて、俺も傘を差したり畳んだりしていた。
明治通りを右に見つつ、車道沿いの歩道を下ってゆくと、やがて、前方に高戸橋が現れる。橋の先にある横断歩道を渡って、左に曲がる。
新目白通りを左に見つつ、道を真っ直ぐ進んでゆくと、鶴巻町の交差点に辿り着く。ここまで来れば、最早迷いようがない。東京名所(だと俺は考えている)のひとつ、現代マンガ図書館を視界に捉えることができる筈だ。
ビルの2階にあるマンガ図書館に足を進め、先着の知友Kさんと合流した。こちらのKさんは、酒場の達人K氏とは別の方である。念のため。
あまり詳しくは書けないが、Kさんはアニメ業界で働いておられる。本格の動画職人である。不思議な成り行きで知己を得て、以来、懇意にしていただいている。今年、川崎で催された「ゴルゴ展」にも御一緒した。
年末に「マンガ図書館で名作マンガを読む」のが、俺たちの恒例行事みたいになっている。入館手続きを終えた俺は、Kさんに挨拶をし、隣りの椅子に腰をおろした。閲覧室に他の来館者の姿はなかった。Kさんも俺も混雑は苦手な方だが、いささか寂しい光景であることも確かであった。
空腹の限界に達した俺は、そのことをKさんに告げ、一旦マンガ図書館を離れた。駅方面に歩き、商店街に足を進めた。さて、何を食べようか。かなり迷ったが、面白そうな定食屋があったので、そこに決めた。もちろん、全然知らない店である。
カウンター席のみのシンプル構造。こういう店は期待できる。難しい顔をしたおばちゃんが、台所風の厨房で腕を振るっていた。客の入りは悪くない。人気の高い店だと思われた。俺はカウンターの隅っこに陣取り、親子*定食なるものを頼んだ。
ただ一点、不満なところがあったが、総合的には満足のゆく水準であった。セルフサービス式のホット麦茶も美味しかった。いい店を見つけた。来年も暖簾をくぐることになるかも知れない。生きていればの話だが。
図書館に戻り、読みたいマンガを三冊読んだ。借り賃は300円。安いねえ。気がつくと、閲覧室の時計が「午後5時」を示していた。借りていたものを返却し、Kさんといっしょに退館した。
駅に向かう途中、近傍にあるド**ルに寄った。大層繁盛していた。この店はいつ来ても、不思議なぐらいに賑わっている。理由はわからない。
コーヒーを飲みながら、ぴよぶっくの話をした。その際、シンカワさんのイラストをKさんにプレゼントした。ケータイの画面では「絵が(小さくて)見辛いですね」という意見を以前にもらっていたからである。
Kさんは「こういうかわいい絵は(自分には)描けないなあ」と、感心されていた。それは、シンカワさんの作品がプロに認められた瞬間であった。今頃は、居室か仕事場に、コブラガールと魚人闇塚が飾られているはずである。Kさんのイメージでは、もっと毒々しいデザインだったようだ。〔30日〕
[シンカワメグムさんのコメント]
あわわわ…Kさんにプレゼントしちゃったですか…\(゜ロ\)(/ロ゜)/
お...畏れ多い…!\(゜ロ\)(/ロ゜)/\(゜ロ\)(/ロ゜)/あわわわわ…
拙い絵ですが、お褒め頂き嬉しいです…!只今絶賛あわあわしてますが(笑)
決してうまい絵ではありませんが、コブラガールも古代魚闇塚氏も
生命力にあふれている最強種なので、持っている人は魔除け絵として
お守りになるかもしれません!Kさん(K先輩の方も 笑)と闇塚さんの
無病息災と家内安全をお祈りいたしますぞ!!(`・ω・´)ゞ
[闇塚の返信]
「この絵はどうやって描いたのだろう?」という技巧的興味も示しておられましたね。さすがはプロだなと思いました。
ありがとうございます。お二人にお伝えしておきます。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます