第41記:勘定
職場に着いた。売店に行き、スルメと清酒を買った。休憩広場に行き、窓際の卓席に陣取った。あぶったスルメを齧りながら、茶碗酒を呑む。旨い。平日の朝に呑む酒はこれほどに旨いのか。一杯で終わる筈がやめられなくなり、気がつくと、徳利が空になっていた。
追加の酒を買おうと思い、腰を上げた。だが、左の足も右の足も、俺の意思通りに動いてくれないのだった。全身に酔いが回っていた。
そこへ、呼んだ覚えのない賢しら面がやって来て、誰も頼んでいない道徳の授業を始めた。
その刹那、俺の内面で「何か」が弾け飛ぶ音がした。途端、俺は野獣と化して、右手の空徳利を賢しらの脳天に叩きつけた……無論、そんなことはない。今日の朝も、いつもの朝と同じように、平穏な時を刻んでいた。
地元駅下車。満員電車から解放された。歩廊を進み、階段を登った。改札を抜け、階段を下った。駅を離れ、自宅を目指した。12月だと云うのに、気味が悪くなるほどに暖かい。地球は大丈夫か。
道中、学校近傍の大衆食堂に寄った。冷水を運んできてくれたおっちゃんにカレーそばとライスを頼んだ。
料理が出来上るまでの間、テレビの健康番組を眺めて過ごした。今夜の話題は「ダイコンの効果的調理法」であった。大根料理も奥が深い。感心しながら観ていると、蕎麦と丼飯が運ばれてきた。俺はテレビに背を向けると、晩餐を始めた。食べる時は食べることに集中するのだ。
常連客風が「ごちそうさま」と云って、席を立った。厨房から出てきたおっちゃんに「(釣りは)要らないよ」と云いながら、千円札2枚(多分)を渡し、渡しざまに店を出ていった。久々に粋な払い方を見せてもらった。でも、電子マネーとやらが普及すると、こういう光景も感覚も消えてしまうんだろうねえ。世の中、だんだんつまらなくなりますなあ。〔4日〕
[シンカワメグムさんのコメント]
むうッ!?今日の冒頭の日記は「野獣死すべし」でしたな!闇塚優作!(笑)
お日様を拝みながらのお酒はうまうまです。茶碗酒!やってみたい‼(≧▽≦)
自分は徳利の代わりに時々棒的な物を振り回します。最強です。脳内では。
脳内で繰り広げれれるオレtueee。中二病は永遠です!(笑)
患ったまま脳内で永遠の中二として、楽しく生きていきます!(`・ω・´)ゞ
12月で暖かいとは初めて聞くワードかもしれませんな。心配だけれども、
いや~アイスが上手いです~絶賛満喫中です。でもそろそろ寒くなる模様。
いきなり気温が下がると風邪ひき続出ですからね。気を付けたいですが、
体調管理に自信がないなあ~(;'∀') 風邪貰いませんように!
「釣りはいらないよ~」おおお~!!古き良き昭和のかほりが!!
カッコイイですねえ~絶滅してしまったのかと思ってました~
スマートなお客様は本当に素敵です!店側も丁寧になりますよね!
最近、お客もお店も機械的で冷たい感じがして楽しくないなあ~(;´・ω・)
[闇塚の返信]
おそらくあれは、1800円の勘定に2000円を渡したのだと思います。差額の200円が心づけ(チップ)というわけですね。心づけという言葉も近年聞かなくなりましたね。
こういう食堂は今や貴重だと思います。発見した時は嬉しかったですね。自宅に近い点もありがたいです。
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