第32記:仕入れと車内
眼が覚めた。枕時計が「朝の7時半」を示していた。洗顔後、台所に行き、電気ケトルにミネラル水を注いだ。作動レバーを下げると、湯沸かしが始まる。終わると「かちゃん」という音と共にレバーが上がる仕掛けである。蒸しパン(抹茶風味)を食べながら、即席コーヒーを飲んだ。
食後、居室に行き、愛機を起動させた。ぴよさんとメクちゃんを呼び出し、転生作業に没入した。その後、ブログを更新した。シャットダウン確認後、身支度を整えた。最後のカギをかけてから、自室を離れた。
頭上に曇天が広がっていた。コンビニに行き、支払うべきものを支払うと、途端に財布が軽くなった。駅方面に歩き、ビルの2階にある貸し円盤(DVD)屋に足を進めた。キネマ闇塚の素材探しである。
円盤4枚(邦画3・洋画1)をセルフレジに運び、代金を機械に食わせた。隣接する書店に行き、雑誌の棚を眺めた。古生物の本が売っていた。購買欲を刺激されたが、結局買わなかった。儲からない客である。
帰路の途中にあるドラッグストアに寄り、風邪薬と飲料水を買った。家に戻り、荷物をおろしてから、再び外出した。近所のスーパーに行った。惣菜売場にも弁当売場にも、食べたいものはなかった。
スーパーを出て、近傍の中華料理屋に向かった。自動扉を過ぎ、奥の扉を開けると、店員のおねえさんと眼が合った。合いざまに、弁当が欲しいのですがと云うと、いいですよという答えが返ってきた。
今日は「豚肉とニンニク(の芽)炒め、鶏の空揚げ付き」に決めた。出来上がるまで、7~8分かかる。空席に座り、読*新聞を読みながら、弁当の完成を待つ。これから、宴会が始まるらしい。その直前に俺が現れたというわけ。忙しい時に限って、儲からない客がやって来る。商売は大変だ。〔18日〕
扉が閉まり、電車が動き始めた。終点到着までの時間をどのように使うのか。各人各様である。俺は専ら読書だ。秋に限らず、年中読んでいる。今週は、山田風太郎の『信玄忍法帖』と文藝春秋編『「食」の自叙伝』の二冊を対象に選んだ。
前者は木曜までに読んでしまうつもりである。後者も案外早く読めるような気がする。食事に関するインタビュー集である。月刊誌の連載を文庫本の形にまとめたもの。第1のゲストは淀川長治。第2は村田兆治。第3はピート・ハミル。第4は淡谷のり子と、錚々たる顔ぶれが揃っている。
職場到着。売店に入る前に、買物カードを専用の機械に挿入した。残金は500円だった。新たに3000円追加した。合計で3500円。
月曜から木曜までの朝飯代と昼飯代はこれでまかなうことになる。充分まかなえる金額である。これも一種の「電子マネー」と云っていいのだろうか?確かに便利ではある。慣れ過ぎは怖いが。
売店で買った菓子パンとコーヒーを窓際の席に運んだ。食後、コーヒーを飲みながら『信玄』の続きを読んだ。徳川忍者と山本勘介の暗闘が続いている。武田ものの大河ドラマと同じキャストで、これを映像化すれば、類も例もないような異色の時代劇が完成するだろう。とは云うものの、テレビ向きの内容ではない箇所が幾つもある。やるとすれば、映画か。〔19日〕
[シンカワメグムさんのコメント]
読書の秋!
自分もかなりの活字中毒なので、季節は関係ありませんが。(笑)
家で読むのと出先で読むのとでは、同じ話でもイメージが違いますよね。
紙の本の良い所です。好きな時に好きな場所で読めるし、通信費ゼロ円。
ただ、読み終わったら扱いが…。好きで買った物なので、後で絶対また
読みたくなるし、でも保管場所が…。悩みます。捨てられません。
年々、本の腐海が広がる一方です。地震が恐ろしすぎます。(・∀・)
おっ。また面白そうなの読んでますね~淀川長治に淡谷のり子ですか~
独特な世界観を持っている人ばっかりですな‼食にもこだわりがありそう。
何食べてたんだろ。気になりますな。さすがは文藝春秋。
昔はこういった硬派な読み物が多かったですが、今はだ~いぶライトな
文藝春秋におなりになりましたよね~(。-∀-)今のは…合わないわあ~(笑)
[闇塚の返信]
白状しますと、自宅で読む機会は意外に少ないのです。俺の場合、通勤電車の中が「読書室」と化しております。他にやることがないので、集中力も自然に上がります(笑)。
『「食」の自叙伝』は、古本祭りの際に250円で購入しました。同書の奥付には「1997年4月10日・第1刷」と、あります。21年前の本だ!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます