第29記:映画論

 職場に着いた。売店に行き、菓子パンの棚に足を進めた。店内にS君の姿が見えた。背が高いので、すぐにわかるのである。子供の頃、かくれんぼで苦労したに違いない。

 学生時代、篭球に打ち込み過ぎて、腰を痛めた。今も痛いらしい。腰痛というものは、なかなか治り辛いようである。

 休憩広場に行き、ささやかな朝食をしたためた。食後、コーヒーを飲みながら、池波正太郎の『フィルム人生』(新潮文庫)を読んだ。素晴らしい本である。卓越した映画評であるのと同時に最高の生き方指南でもある。これは、両方の達人である池波先生にしか、到達できない領域と云える。


 午前の仕事が終わった。食堂に行き、券売機でBランチを買った。今日のBはサンマの蒲焼きであった。サンマはさておき、甘ったるいタレが全てを台無しにしていた。こんなものをかけるぐらいなら、素焼きのまま出してもらいたい。あとはこちらが、塩でも醤油でも、適当にやるからさ。


 食後、茶碗一杯分の冷水を飲んだ。休憩室に移動し、山田(風太郎)先生の『信玄忍法帖』(角川文庫)を読んだ。その後、約十分仮眠。眼を覚ました途端、自作の栄養に「ならない」会話が、左右の耳に入り込んできた。即座に退場したくなったが、冷血人間の俺は、当然血圧も低く、エンジンがかかるまでに、しばらく時を要するのだ。忍者には不適な体質なのである。〔16日〕


[シンカワメグムさんのコメント]

本当にタレとか手作りソースとか、かけまくりますなあ~

作る方が大変だと思うのですが…。う~ん…なんでだろう。

魚は自分も塩焼き派ですな。新鮮な魚の味をあえて消す調理法が謎。

下がってたのかなあ…。とか思ってしまいますね。次回に期待!(笑)


いやはや…職場って所も謎に満ちた場所ですよね…。

給料の為に、全く性格の合わない人や生理的に無理な人でも、

閉じられた空間に、何時間も一緒に放り込まれているんですから。

エゴエゴばっかでストレスたまりますがな~何年たっても慣れません。

鈍感力って本当に大事だなあと思う今日この頃です。

忍者の悟りの道は遠いなあ~……忍者はスゴイ!!(笑)


[闇塚の返信]

多分あれは「缶詰」じゃないですかね(笑)。缶詰は冗談だとしても、調理は行っていないですね。工場から運ばれてきたものを皿や器に盛りつけているだけという気がします。


忍者はいいですね。探りと殺しのエキスパート。砂利の頃、憧れたものです。いや、今も憧れているかな……。

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