第16記:エッセイ

 帰路の途中、手作りパンの店に寄り、手作りパンを二つ買った。店を出て、自宅の方角へ歩いた。少し進むと、右手に空地が現われる。視線を向けると、地面に「売却済み」の看板が突き刺さっていた。

 かつて同地には、食料品店と惣菜屋が並んで建っていた。常連客とまではゆかぬが、後者は時々利用していた。愛想の好いおばちゃんが迎えてくれて、大抵値引きをしてくれた。貧乏人にはありがたい店だった。


 閉業が決まった際、おばちゃんに「どうしてやめるんですか?」と俺が不躾な質問をすると、おばちゃんは少し困ったような顔して「土地を売っちゃったから、どうにもならないんですよ」と答えてくれた。おばちゃんのその後の消息はわからない。元気にされているだろうか。


 帰宅後、浴室に行き、湯舟を洗った。磨き立ての湯舟に温水を張り、入浴剤を溶かし込んだ。体を洗ってから、湯舟に体を沈めた。浴室を出て、体を拭き、清潔な衣類を身に着けた。居室に行き、愛機を起動させた。ぴよぶっくを呼び出し、編集作業を始めた。終了後、今度はメクるを呼び出した。まったく忙しいことである。だがこれも、大晦日までの話だ。


 シャットダウン確認後、居室に麦焼酎とミネラル水を持ち込み、遅めの晩酌を始めた。呑みながら、星新一の『きまぐれ暦』(新潮文庫)を再読した。表紙担当は真鍋博画伯。小学生以来の愛読書だが、当時の俺が、本の内容をどこまで理解していたのかは謎である。小説と随筆の区別さえ、ついていなかったような気がする。読後、チキンステーキ弁当を食べた。 〔3日〕


[Quinもわさんのコメント]

私も前に住んでた家が取り壊されてるのを見て感慨深いといいますか、感じるものがありますね。時の流れは何とかといいますけど、受け入れて前に進むしかない。


[闇塚の返信]

良くも悪くも、こういう経過を経て、町は変わってゆくのかなとも思います。ここに住み始めてから、15年目ですが、最初の頃に比べると、あちこちに変化が見られますね。


[シンカワメグムさんのコメント]

あ…。最近。風呂、入ってない…。(・∀・) ※シャワーのみの意です。

シャワー派には辛い季節がやってきましたね。

いや、シャワー派と言う訳ではないけれども、水道代が…。ごにょごにょ。

自分もそのうち、溢れんばかりの風呂に入ってやろうと思います。

う、うらやましくなんかないんだからねッ(笑) 


星新一を小学生で愛読書に上げるとは、鍋太郎少年おそるべし!

なかなかの文学少年ですな!シンカワ小学生は、

『なんかわからんけど、この人の話は時々ちょっと怖い』

ぐらいの感想でしたがな。(。´・ω・)? 闇塚少年すごいなあ~


[闇塚の返信]

昼間は特撮もんの再放送を楽しみ、夜は星ワールドに親しんでいました。それから三十数年後、その砂利は「魚人闇塚」という化物に進化(退化?)してしまったとさ。(笑)

星先生には作品を通して、色んなことを教えていただきました。他人は容易に信用してはいけないことも含めて。(笑)

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