第6話 出会い2
「ふぁ~眠い……」
あれから一週間経った。
だけど何で私またこの席に座ってるんだろ。
昼御飯を食堂で済ませた所で急激に眠気が襲ってきたのだ。
そして何も考えることなくこの席に座ってしまった。
あの人が先に座って居るのに。
意識してるとか思われたらどうしよう……
それにしても眠たい。
バイトで寝るのが遅くなったからかな~
午前中の授業はなんとか乗り切ったが午後からは前日の疲れが出始めたのかも知れない。
バイトは地元の京都・伏見のスーパーで品出しをしている。
しかし最近ではレジ打ち等の業務もしなければいけなくなり体力のほぼ限界値に達するようになった。
昨日もレジ打ちの最中に……
「店員さんこのお寿司ネタ落ちてるんだけど?」
60歳前後で背の低いブランドの服を纏った女性が高圧的に私の前に立った。
正直に言うと店側の責任でこのような無残な姿に寿司がなることはない。
恐らく買った後で落としてしまい替えてもらおうとしているのだ。
クレームじゃない。クレームと言ったら怒られる。
お客様からの御意見。
「た、大変申し訳ありません!少々、お持ちください」
「早くしてよね!」
問題の寿司を持って水産の売り場に持っていく。
えっと……
「あのすいません!このお寿司お願いします」
「どうかしたの?」
「商品の交換を求められて……」
「こんなの絶対、客が悪いじゃない!」
「はい……すいません」
「なんで貴方が謝るのよ!ほらこれ持って早く行きな」
「はい!すいません。ありがとうございます!」
なるべく早足でお客様の待つ場所へ向かった。
「遅い!こんなに待たせて!じゃあ、これ貰ってくわね」
「申し訳ありませんでした」
「すいません!次、お待ちのお客様どうぞ」
数十分後、やっとレジを抜けられた。
そうして荷受け場に行くと荷物の搬入が終わっている。
段ボール山積みのロングカートが行列を作っていた。
「もう嫌……」
精神的疲労とこれからやってくる肉体的疲労に思わず心の声が漏れてしまった。
家に帰ったのは22時30分頃。
そこから出された課題をこなし行政書士試験の勉強をする。
ベッドに入れたのは午前3時を超えていた。
そして今朝起きたのは午前6時。
自分でも眠たくなってしまうのは仕方がないと思う。
「君!君!起きてください!」
「ん~」
「もう授業終わりましたよ!」
「はい!え?」
「だから授業終わりましたよ」
周りを見渡すと見知らぬ生徒がたくさんいる。
そして目の前で私が受けていた授業の先生が私を起こしている。
やってしまった……
「すいません!ありがとうございます」
やばいもうゼミ始まる。
腕時計に目をやるとゼミ開始のチャイムが丁度なり始めた。
まずい。二回目のゼミで遅刻とかありえない!
チャイムが鳴り終わったと同時に何とかゼミの扉を開けた。
皆がこっちを一斉に見てくる。
その中に一人の生徒と目が合う。
そして思わず私の口から一言漏れてきた。
「え……」
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