第2話プロローグ2

私は友達が少ない。

単純にコミュニケーション能力が低いからだと思う。

どんなに覚悟を決めても話してくれる相手の前に立っていると自然と声が小さくなる。


それで更に自信が無くなり身振りも小さくなっていく。

悪循環だ。


昔から教室で一人本を読み部活にも属さず友達と帰る。

部活に入っていたら今のこの性格は無かったのかもしれない。


今となってはもう遅いけど。


そんな自分が嫌いだ。


性格だけじゃない。妙に白い肌・高い鼻・

鋭い目。そして何よりこの金髪。

背は152cmと普通か少し小さいぐらい。


どれだけ周りの女の子と同じ容姿なら良かったのだろうかと感じた事だろう。


小学生の頃はあまり話さないこともあり

上代かみしろさんは、お人形さんみたいだね!」

そんな事をよく言われた。



小学生ながら凄い皮肉だ。

周りからは褒め言葉として言われたのだろうけど疑問に感じてしまう。


そんな人と違う容姿も嫌いだ。

私、上代 かみしろ りんは自分の全てが嫌いだ。


関邸大学に入学できたのも運が良かったからだろう。

単位を落とすことなく2年生に上がることができたのは驚いたけど。


2年生の春はもう優しい風が吹く。

その風は今も私の長い髪を揺らしてくれる。


ふと桜の花を目で追う。

その視線に男の人が入った。


食堂の屋上に一人でボウっとしている。

これが崖なら自殺志願者に見えたかもしれない。


「やば!!」

目が合ってしまった。

逆光で顔はよく見えなかったが少し暗いような怖い感じだ。


「まだこっち見てるかな?」

そっとそちらに視線を戻すとコチラをもう見ていなかった。

私が自意識過剰だったのかな?

そんな事を思ってしまう。


食堂の中に目をやると沢山の生徒達がワイワイと食事を楽しんでいる。


「さっきの人、一人だったな〜」

自分が友達少ない事もあり少し嬉しかった。

酷く最低だと思うけど。


それでも高校もそうだが、友達と一緒に学校を歩く。

食事も友達の席で食べ、放課後は皆でカラオケ。

そんなリア充な生活に憧れてきた。

それでもそんな憧れは手に届かず、友達は居るけれど基本は一人。


そんな自分にとってあの男の人は仲間なのだ。

「勝手に仲間にされて、あの男の人も災難かも」

そんなことで少し微笑みが漏れる。


周りは突然笑い出したぞ!

変な奴!

そんな風に思っているかも。

私自身がそう感じるのだから、きっとそうだろう。


次の授業まであと30分。

学内にあるコンビニに御飯を買いに行こう。


楽しげに聞こえる周りの声は、自分の膨らみの少ない胸に矢のように刺さっている。

自分が逆の立場であればどれ程良かったのだろうか。


「今日の御飯は何にしようかな?

ドーナツとたまご蒸しパンにしよ!」


心の中で独り言を呟く。

自分の考えてる事が口に出始めると認知症になりやすいみたいなデマみたいな事を聞いたことがある。

実際はどうなんだろう?


どちらにしても今のところは大丈夫そうだ。


「あ~ 3時間目の授業、嫌だな]

御飯を学校のベンチで済ませて教室に向かう。



あっ!

教室の空席を確認し席に着こうとした。

全く人の居ないところに先程の男の人が座っている。


「あの人も2年生だったんだ」

2年生にしか開講されていない授業だからすぐに分かった。


一人で居ることに慣れているのだろうか?

そのせいか自分より大人に見える。


ボンヤリとしていたせいかその男の人の近くに座ってしまった。


気まずいな〜

声掛けて見ようかな……

やっぱり辞めておこう。

2列後ろの席だ本当に近いわけじゃない!


この授業は集中できなさそうだ……









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