第10話 市場のイドラ βー8
メガネ「ほとんど間違っていた様な印象を受けました。」
カエデ「実際には、かなりの部分が正確でした。」
メガネ「そうなんですか?でも不正確なと表現されたらほとんど間違っている感じがします。」
カエデ「不正確という言葉の意味は、間違っている部分が100分の1でも100分の99でも同じ様に言いますよね?」
メガネ「そういえばそうですね。」
カエデ「今の様な言葉の表現の幅の広さによる情報伝達の齟齬をベーコンさんは、市場のイドラと呼びました。これも確証バイアスによる種族のイドラに由来していて人間は極端な二分法に偏りがちで不正確と表現すると正確の反対だから全体が不正確だと錯覚します。例えばさっきの表現の「不正確な図でした。」の部分を類似語の「間違った図でした。」「大雑把な図でした」「ざっくりした図でした。」「大まかな図でした。」「細やかでない図でした。」「おおよその図でした。」「アバウトな図でした。」「ラフな図でした。」「雑な図でした。」「ぞんざいな図でした。」「粗野な図でした。」「洗練されていない図でした。」「適当な図でした。」「いい加減な図でした。」「不注意な図でした。」「軽率な図でした。」「うっかりな図でした。」「ぼんやりな図でした。」「呑気な図でした。」「無頓着な図でした。」「怠慢な図でした。」「しまりの無い図でした。」「未熟な図でした。」「煮詰まっていない図でした。」「不完全な図でした。」「生焼けな図でした。」「半焼けな図でした。」「生半可な図でした。」「散漫な図でした。」「漠然とした図でした。」「不明瞭な図でした。」等に変えてみたらどうですか?」
メガネ「何だかそれぞれ少しずつ違った印象がします。本当はどうなのか言葉だけではよくわからないから図を見せてくれという気持ちになりますね。」
カエデ「百聞は一見にしかず、というやつですね。言葉だけでは伝えきれないという事が理解して頂けたと思います。」
メガネ「よくわかりました。」
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