第18話
『にゃははっっ!!にゃはは!?にゃは!!にゃはは!!にゃははっっ!!にゃははは!!ヒーッ!ヒーッ!にゃはは!!にゃはは!!!にゃははにゃはは!!』
わぁ!綺麗な天使さんが笑ってるよぉ♪
『ブフッ!!にゃはははは!ヒーッ!ヒーッ!にゃははにゃはは!!にゃは!?にゃはははは!にゃははにゃはは!!』
お花畑、綺麗だな♪
『にゃはは!死ぬ!死んじゃう!!笑い死んじゃう!!にゃははにゃはは!!』
何がそんなに楽しいの?僕も混ぜてよ♪
『ニャァァァァ!!ヒーッ!ヒーッにゃはは!!』
あ!待ってよ!天使さん待ってぇ〜♪
『にゃははははっ!!』
待ってったらぁ……
ーーーーーー
『グワッガッ!?』
私は意識を取り戻す。
何が起きたかは分からないが、意識を失ってしまった様だ。
岩の上を見ると、ジャスティスが勝手な勝利宣言を行っている。
「皆の者見たかッッ!これがお前達の偉大なる王!!ジャスティス・ビーバーの力だッッッ!!」
『ちゅ〜ッッッ!!』『チュッチュッ!!』『チュゥッ!!』『チュッチュッ!!』『ちゅ!!』「ゴリラ」『チュウ〜ッッッ!!』『チュウチュッ!!』
凄まじい大歓声。まるで有名歌手のコンサートの様に異様な盛り上がりを見せている。
「奴は死んだ!!俺様の圧倒的な力の前になす術も無く倒れたのだッッッ!!なんと哀れな道化なのかッッ!!」
『ちゅ〜ッッッ!!』『チュッチュッ!!』『チュゥッ!!』『チュッチュッ!!』『ちゅ!!』『チュウ〜ッッッ!!』『チュウチュッ!!』
ふざけた奴である。奴は卑怯にも準備も整わない私に攻撃を加え、
許せない……!!絶対に許せないッッッ!!
『グワッガッァァァァァッッッ!!』
「!?」
私は叫び声を上げ、ジャスティスの居る岩の上へと登る。
奴はどうやら私が生きていたのが余程意外だったらしく、驚いた顔で私の方を見つめていた。
「ほう?まさか生きていたとはな。脆弱なトカゲにしてはやるようだ。……しかし、生きていたなら何故そのまま逃げなかった?俺様と貴様との間にあるのは物理的な距離だけでは無い。圧倒的な実力の壁がそこにはあるのだぞ?」
随分とふざけた事を抜かす。相手を過小に評価し、自己を過大に捉えるのは愚者の行いだと知らないらしい。
奴は周囲の眷属達にアピールする様に続ける。
「しかぁーッッッしッッッ!!こうして再び壇上へと立ったコヤツには何か褒美が必要だと思わないかッッッ!?」
『ちゅ〜ッッッ!!』『チュッチュッ!!』『チュゥッ!!』『チュッチュッ!!』『ちゅ!!』『チュウ〜ッッッ!!』『チュウチュッ!!』
周囲のボルテージは最高潮に達している。奴はそのまま私を指差しこう言った。
「これから俺様は一度だけ貴様の攻撃を受けてやろうッッッ!!そしてッッッ!!俺様と貴様の圧倒的な差を理解させた上で葬ってやるッッッ!!」
『ちゅ〜ッッッ!!』『チュッチュッ!!』『チュゥッ!!』『チュッチュッ!!』『ちゅ!!』『チュウ〜ッッッ!!』『チュウチュッ!!』
──愚か。
奴は愚かだ。言うにこと書いて“一度攻撃を許す”等という暴挙に出たのだ。
この世界は剣と魔法の世界。例えどんな相手だろうと
にも関わらず、安い挑発の為に攻撃を受ける事を奴は決めたのだ。
余りの愚かしさに思わず鼻白む。
私は生前、アニメや漫画等で絶対的強者が時折見せるこういった行為の事を侮蔑的な目で見ていた。
恐らくは下らない愉悦の為の行動なのだろうが、それが命取りになる可能性を考慮出来ないのかと。
その時は所詮はフィクションの話だと思い、小馬鹿にするだけだったが、事実は小説よりも奇なり。
まさか本当にそんな愚行に出る奴がこの世に居ようとは。
しかし、此方としては好都合。敵は馬鹿な方が良い。
良いだろう。その愚かしさを私が教えてやる……!
私は拳を構えジャスティスの前に立つ。奴は左頬を差し出しこう言った。
「これから始まるのは一方的な蹂躙だ。俺様は敢えて貴様の攻撃を受ける。そして、貴様の分際と言うものを理解させてやろう……」
……ほ、ほほぅ?
コメカミがヒクつく。安い挑発だとは分かっていても中々に来るものがある。私らしくも無い。
私は此方を見つめる奴に一撃を加えるべく、準備を始める。
『……グワッガッ(“
これは強化魔法適正を獲得した際に手に入れた魔法の一つで、体感的に肉体強化の上を行く強化魔法なのだ。
私の全身に力が漲る。まるで血液が沸騰した様だ。
「……え?あれ?」
次に私は奴に向かい右手を振り抜き、そのまま回転してスキルを発動させる。
『グワッガッァァァァァ!!(“レイジングテイル!!”)』
「
な
に
そ
れ
?
」
“レイジングテイル”。
私がこの三カ月で獲得した攻撃系統のスキルの一つだ。極短時間だが、
獲得して直ぐに試してみたのだが、無強化の状態でも石にヒビを入れる程の破壊力が在った。
私は奴に向かい右手を空振りの状態で振り抜き、そのまま半回転して尻尾を顎下にブチ込んだのだ。
その破壊力は痛烈の一言。奴は錐揉みの様に回転しながら6メートル以上吹っ飛んで行く。
間違いなく死んだ。あれをくらって生きている訳が無い。
私は右手を掲げて勝利宣言を行う。
『グワッガァァァァァッッッ!!』
『ちゅ〜ッッッ!?』『チュッチュッ!?』『チュゥッ!!』『チュッチュッ!!』『ちゅ!!』『チュウ〜ッッッ!?』『チュウチュッ!!』
騒ぐネズミ達。
その内容は分からないが、間違いなく批判的な内容だと声色で理解出来る。
しかし、それが心地良い!
『グワッグワッグワッ!!グワッグワッグワッ!!』
私は腹を抱えて爆笑する。この世界に来てこんなに笑ったのは初めてだ。
「待てぇぇぇいッッッ!!」
『グワッガッ!?』
何と、ジャスティスが再び岩の上へと登って来たのだ。
中々やるようだ。私は即死させるつもりだったのに。
「おのれ……!!おのれ卑怯者めがッッッ!!俺様の準備が整う前に攻撃した挙句、身勝手な勝利宣言までしおってッ!!所詮はトカゲと言う事か!!」
ふん!安い挑発をしたのは自分だろうに、その事実すら頭から消えた様だ。所詮は愚かな齧歯類と言う事だな。
「くたばれぇぇぇッッッ!!」
奴は咆哮と共に雷撃を身に纏い、そのまま此方へと飛び交かる。
私は左手を軸にして回転してそれを躱し、そのまま尻尾を打ち据えようとする。しかし、
「甘いわッッッ!!」
奴はそのオールの様な尻尾を振り上げ、私の尻尾を払い上げたのだ。
同時に私の体には電流が走り、ダメージが入る。しかし、奴も無傷では無い。
「貴様……!」
奴は自分の尻尾に目をやり、私を睨み付ける。
“ニードルテイル”。
これも私が獲得していた攻撃スキルの一つで、そのまま尻尾にトゲが生えると言うスキルだ。
奴は尻尾を振り上げた事により、そのトゲの餌食になったのだ。
『グワッガッ……!』
私は手招きする様に右手を動かす。
「……殺すッッッ!!」
奴は首を切る様な仕草をすると、再び此方に構える。
そして、戦いの火蓋が再び開かれた。
ーーーーーー
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