第13話



ーーーーーー



 あれから更に3ヶ月が過ぎた。


 私の目の前には、一本角の生えた齧歯類の様な魔物、略して“ネズミ”が居る。奴は怯えた様に吠えて来た。


『ヂュ、ヂュー!!』


 私は立ち上がり、奴に負けじと威嚇する。


『グワッガ!!』


『!?』


 奴は怯えて、後退りする。しかし私は許すつもりはない。私達の巣穴を嗅ぎまわっていたのだから報いは受けて貰おう。

 逃げられない事を悟ったのか、奴は覚悟を決めた様だ。


『ヂューッッッ!!』


 奴の角が光り、雷撃が放たれる。

 そして、そのまま私を貫いた。


『ヂュ、ヂュウ♪』


 鳴き声に喜悦が混じる。この世界に来て約半年と成るが、どうやら魔物は通常の生物よりもかなり知能が高いらしい。

 流石に人間並みとは行かないが、攻撃が成功した事で喜びを感じる辺り、このネズミも普通のネズミより格段に知能が高そうだ。


 しかし──


『ヂュウ!?』


 奴の顔が驚愕に染まる。

 奴の目の前には、の私が立っていたからだ。


 ふっ、残念だったな。とっくに電撃耐性は獲得して居るのだ。


『ヂューッッッ!!』


 慌てて逃げ出すネズミ。甘い、甘過ぎるな。逃す訳が無いだろう。


『グワッガ!!(コカトリスの魔眼)』


『ヂュウ!?』


 奴が盛大に転ぶ。私は奴の魔眼の効果を発動させたのだ。


 全体に魔眼の効果を掛ければ遅くは成るが、動作自体には不備は出ない。


 しかし、急に体のの動作が悪くなった場合、対応出来ずにこうなるのだ。

 初使用の際には使い方がイマイチ分からなかった為に微妙なスキルかと思ってしまったが、訂正しよう。コカトリスの魔眼はかなり強い。


 私は素早く奴に近付き、その首に噛み付く。


『ヂュウ!?ヂュー!!ヂュー!!』


 必死に暴れ回り、幾度も雷撃を私に放ち続けるネズミ。

 しかし、耐性を持つ私を殺し切れる程の威力は無く、やがて動かなくなる。

 ……頃合いだな。


『グワッガ!(継承)』


【継承発動成功。何を継承しますか?】


(雷撃魔法適正LV1)


【雷撃魔法適正LV1の25%を分割して継承。これにより個体:ダークネスアイズ・レッドテイル・ブラックアガマ一体、エンシェントブラッドプリンセスアガマ二体に雷撃魔法適正LV1が追加されます】


 良し!これで2種類目の魔法適正を獲得出来た。やはり魔法が使える様に成るのは、テンションが上がる。

 さて、久々に見てみるか。


『グワッガ(ステータス)』



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ステータス


種族:“ダークネスアイズ・レッドテイル・ブラックアガマ”


種族概要:アガマ系統の希少種族。同系統の中でも最強と言われる種族で、極めて個体数が少ない。多くの場合、特有の魔眼を持つ種族でもある。


スキル:ユニークスキル:“継承LV2”

   :オリジンスキル:“真実の絆LV1”

   :EXスキル:“コカトリスの魔眼LV2”

   :ノーマルスキル:“暗視LV4”、“しっぽ切りLV8”、“強化嗅覚LV3”、“硬い外皮LV5”、“隠密LV6”、“猛毒耐性LV8”、“軽微再生能力LV5”、“強化魔法適正LV1”、“雷撃魔法耐性LV1”、“雷撃魔法適正LV1”

“尾技適正LV2”

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 ふむ、なかなかのラインナップだろう。


 “強化魔法適正LV1”が入手出来たのは、ぶっちゃけ漁夫の利だ。

 私が獲物を探して森の中を散策していた所、巨大な熊の様な魔物、略して“熊”が居たのだ。


 それも二匹。


 彼等は互いに威嚇し合い、軈(やが)て戦いへと発展した。

 一進一退の攻防が続いたが、遂には片方が力尽き、そしてもう片方はそれを置いて何処かへと行ってしまったのだ。


 そして私は倒れ伏した彼に隠密で近付き、継承を発動。いくつかあるスキルの中で、一番習熟度の高かった“強化魔法適正LV1”を継承したのだ。

 正にハイエナである。


 “雷撃魔法耐性”は、先程のネズミと同種から獲得したスキルだ。

 私達はあれから体が大きくなり、巣穴を移動してこの森に来たのだが、此処にはかなりの数あのネズミと同種が居る。


 私達と彼等は、食性が極めて近く、サイズ的に狩れる獲物もほぼ同じ。

 その為、幾度と無く彼等と小競り合いが発生し、遂には殺し合いになった。


 その中でこのスキルを獲得したのだが、今では私達と彼等は完全に敵対関係となっており、最近では私達の巣穴を嗅ぎまわっているのだ。


 ……まぁ、無論容易く見付かる様な場所に巣穴は無いが。


 さて、都合よく獲物も手に入った事だし、巣へ帰るとしよう。


 が待ってる。


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